データが示す日本の悲しい現実 アジアでさえ優位性を失ったハリルJの真骨頂

ロシアW杯の8強進出は夢物語か?

 相手守備陣の裏を狙った効果的なパスの数と、その成功数というデータを見るとアジア予選ではいずれも二桁数のパスを出していた。シンガポール守備陣が驚異的な頑張りを見せた初戦こそ、そのパスの成功率は54%だったが、それ以外の3試合は70%前後の成功率だった。相手に関しては裏を突くパスの本数が2~4本という数字で、比較するのが気の毒に感じるようなデータだった。

 しかし、それがイラン戦になると一変する。日本は4本しか出せず、成功はわずか1本(成功率25%)だった。相手のイランは5本中成功4本(成功率80%)というこれまでとは真逆の結果となった。この試合で両チームの生み出した決定機の数の差はこの数値に如実に表れている。

 ハリルホジッチ監督が使う「Duels」、「インテンシティー」という言葉を独自の解釈で指数化してみた。相手ボール時に1分間当たりに何回チャレンジ(ボールを奪いに行くアクション)と、インターセプトを行うかという指標を使って比較した。これも予選4試合を見ると相手チームを圧倒していたが、イラン戦においては相手が11回、日本が10回とわずかながら上回られている。

 こうしてみると、少し寂しさも残るが、FIFAランキングがある程度それぞれの国の実力を反映しているのかもしれない。去年の夏のワールドカップブラジル大会で日本代表は1勝もできず、1次リーグで敗れている。同じく世界の舞台で1勝もできなかったアジアのチームとの試合でこのレベルのパフォーマンスでは、2018年に迫るロシアW杯でのベスト16やベスト8に入ることは、まだ夢物語に感じてしまう。ハリルジャパンの冷たい現実が今回のイラン戦のデータからもにじみ出ている。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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