レッズの司令塔が見たハリルジャパンの乗り越えるべき課題「ワンタッチプレーが少ない」

ハリルからの檄「浦和とは違うぞ!」

 バヒド・ハリルホジッチ監督のトレーニングに参加するのは初めての経験になったが、監督の印象は「ちょっと怖い雰囲気があり、先生っぽいところがある」というものだったという。その一方で、「選手の誰かを特別扱いするようなところは全くない」と、フラットに全選手を見てくれていると感じたと語る。

 そして、戦術の確認で「浦和とは違うぞ」と言われたのが、ボランチがバックラインの近くまでボールを受けに下がるプレーをするかどうか。ハリル監督からは、前方でボールに絡むことを意識づけられたと言い、それをピッチ上でも表現した。イラン戦では、ペナルティーエリアの中まで進出して攻撃の最終局面に絡むシーンも作った。ボランチの一角がその高さまで進出することで、攻撃の厚みを加えることができる。その意味では、柏木の良さが発揮された場面だった。

 27歳の柏木にとって、このハリルジャパンは1歳違いの本田圭佑(ACミラン)や岡崎慎司(レスター)など同世代が多い。それだけに「リラックスしてチームに入っていけたし、練習で自分の良さを出せたと思う」と、スムーズにチームに入り込むことにつながったという。それが、久しぶりの代表戦で普段どおりのプレーを披露することにつながった。

 週末の17日には、浦和はG大阪とリーグ戦のゲームを戦う。イラン戦から移動を含めた中3日で臨むゲームになるが、「世界の選手は、代表に行って帰って、すぐに試合をするのが普通のこととしてやっている。自分も、言い訳はできない。代表で得たものをチームに還元しつつ、レッズはレッズとして、またチームメートの良さを生かすようなプレーをしていきたい」と代表選手としての自覚もハッキリと語った。新スタジアム建設により、今回が最後のプレー機会になる可能性もある万博記念競技場は、2006年にJリーグ初ゴールを決めた思い出の地だ。

 イラン戦の18分間で、ハリルジャパンに変化を与える兆しは見せた。本領を発揮しようとしていた“走るファンタジスタ”は、夢だと語るワールドカップ出場に向けて歩みを続けていく。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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