「アウェーの中で、それをエネルギーに変えてやっていきたい」。持ち前の不動心を貫く川島永嗣

「アウェーの中で、それをエネルギーに変えてやっていきたい。暑さの中でやるのは相手も一緒。言い訳にはならない」

 百戦錬磨の守護神は表情を変えずにこう語った。ベルギーでは常日頃、殺伐とした雰囲気の修羅場をくぐり抜けている。シャルルロワとの“ワロンダービー”やアンデルレヒトとの伝統の一戦では、危険なタックルや取っ組み合いの応酬となり、サッカーというよりは格闘技の趣さえある。興奮状態のスタンドは、不穏な発煙筒の煙で視界が遮られるほど。罵詈雑言の響く、一触即発の状況でゴール前に君臨している。

 味方サポーターから傷付けられたこともある。チームがなかなか結果を出せないときに、試合中にスタンダール・リエージュのゴール裏から同僚のGKシナン•ボラトの名前をコールされた。そんな日々を川島は生きている。

「2点差をつけるのがベスト? まず、勝たないといけない。どういう形でも勝つことが一番」

 ギリシャとの1次リーグ第2戦で3本の決定機を止めた川島は、イタリアなど欧州メディアで試合のMVPに選出された。パフォーマンスは上がっている自信があるからこそ、今大会初勝利への手応えも感じている。

「裏のカードの情報は入れるのか」。コートジボワールがギリシャに勝てば、全てが終わってしまう。他力本願の状況でメディアからこう聞かれた川島は、「ゲームの中で自分たちの戦い方を変えられる余裕がある状況じゃないと思う」と話した。目の前の決戦に全神経を注ぎ込む。スタンドの声も、裏カードの推移も、全ての雑音が聞こえないほどに。

 

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

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