ベトナム相手の1-0をどう見るか? 柴崎らの言葉から感じた“試合巧者ぶり”と“危うさ”
VARが脚光を浴びた一戦、日本代表の確固たるゲームプランと後半の修正力
森保一監督が率いる日本代表は、アジアカップ準々決勝でベトナムに1-0で勝利した。CKからのゴールがVAR(ビデオ・アシスタント・レフェリー)で一度取り消され、その後の別のシーンではPKが与えられるなど、今大会初導入のVARが脚光を浴びる試合となったが、日本はゲームコントロールという意味では上手く90分をまとめた印象だ。
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試合後に柴崎岳が「難しい試合でしたが、ギリギリで勝った試合でもない」と語っていたが、それはまさしく言い得て妙で、後半スタート時からの組み立て、チャンスの形を見れば、仮にPKを取ってもらえなかったとしても、10分、15分の間にリードして勝利に結びつけていた可能性が高い。
5バックで守備を固めながら局面でプレスをかけ、ボールを取ったら素早く日本のディフェンスが薄いところを突いてくるベトナムに対し、前半はかなりボールが引っかかってしまい、運動量をベースにした相手の攻撃に対して後手に回るシーンもあった。
特に遠藤航と柴崎のボランチ2人が同サイドに寄ったところで外され、一気に縦に運ばれ、冨安健洋が10番のグエン・コン・フォンとの1対1に持ち込まれるシーンなどが続き、自陣でのミスからGK権田修一が際どいセーブを強いられるシーンもあった。
日本の前半のボール保持率は69.2%で、主導権をほぼ握られた前戦のサウジアラビア戦とは対象的な数字になったが、ベトナムに10回のインターセプト、自陣ペナルティーエリア内で5本のシュートを記録されるなど、前半に関してはベトナムのペースで試合が進んだことは確かだ。
しかし、途中出場した乾貴士によれば、日本はベトナムの運動量が落ちてくることを想定しながら試合を進めていたようで、ハーフタイムのロッカールームでもチーム全体で改善点を出し合ったというよりは、それぞれ近い選手などが細かい修正点を話していたようだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。