ベトナム相手の1-0をどう見るか? 柴崎らの言葉から感じた“試合巧者ぶり”と“危うさ”

イラン戦へ柴崎は警鐘 「強豪国になれば、最後の最後で地力で押し込んでくる」

 その中で一つのキーになったのが、ボール回しのテンポを早くしてベトナムの守備が付いてこられないようにすること、ボランチの2人がショートパスを交換することで、相手のボランチを食いつかせ、5バックとボランチの間を有効に使ってチャンスを作ることだ。VARにより堂安がPKを獲得したシーンは5バックの間に原口元気と堂安が絡んだシーンであり、そうした組み立ての変化が布石になっていた。

 さらに森保監督が、後半27分にFW北川航也に代えて大迫勇也を投入し前線に“深み”を出すと、疲労の色が見え始めたベトナムの守備に間延びを生んだ。同33分には原口に代わって乾が入り、ワイドの揺さぶりを増やした。

 後半に関して言えば、ボールだけでなくゲームの主導権を握るなかで、権田のキックミスからシュートに持ち込まれるシーンなどはあったものの、ベトナムに攻め込まれて後手に回る時間帯はほとんどなかった。しかしながら効果的なチャンスメークから追加点を奪えず、1-0と同点にされる可能性を残したまま、相手に終盤のパワープレーをさせたことは課題だ。

 柴崎も「これがさらに強豪国になれば、最後の最後で地力で押し込んでくる場面も出てくる」と語る。日本戦の後に、準決勝の相手となるイラン対中国の試合を映像で観たが、ベトナムより力のある中国から完全に主導権を奪ったまま先制、中押しの2点目、ダメ押しの3点目とイランが盤石の試合運びで3-0と完勝した。

 準決勝はこれまでの試合よりはるかに厳しい戦いになることは間違いないが、ここまで5試合で着実に経験を積み重ねてきた日本が優勝候補のイランにどう挑み、勝機を見出していくのか。勝利を狙うことはもちろんだが、今後の成長につながる試合になることは間違いない。

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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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