「サッカーとは改めて面白いな、と」 35歳の“リベロ”長谷部誠、ドイツでの飽くなき探究心
【欧州蹴球探訪|第11回】好調フランクフルトを最終ラインから統率する日本人リベロ
ドイツ・ブンデスリーガのウィンターブレイクが明けた。
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18日、アイントラハト・フランクフルトは中断明け初戦をホームのコメルツバンク・アレーナで迎えた。ここ数日のフランクフルトは極寒で天候不順が常のドイツらしくない好天に恵まれていて、久方ぶりにスタジアムへ足を運ぶサポーターたちの足取りもどことなく軽やかに見えた。再会を祝して抱き合う者たち、後半戦の動向を予想し合う者たち、我がフランクフルトの誇る“強力3トップ”、ルカ・ヨビッチ、セバスティアン・アレ、アンテ・レビッチの素晴らしさを朗々と語る者たちもいる。そのいずれにも期待に満ちた笑顔が浮かんでいる。
試合開始2時間前にスタジアムの門が開くと、彼らは一斉にスタジアム側面に併設されているファンショップへとなだれ込んでいく。昨シーズン、30年ぶりに戴冠を果たしたDFBポカールでの成果を経て迎えた今季のフランクフルトは、注目度が一層高まっていて、地元ではその人気が沸騰している感がある。市内中心部にあるファンショップはレプリカユニフォームを含めた各種商品が品薄となり、ファン・サポーターはグッズが充実するスタジアム内のファンショップへ我先にと殺到するのだ。
フランクフルトのリーグ再開初戦の対戦相手はフライブルク。中断期間中にアメリカのフロリダでキャンプを張って態勢を整えてきたフランクフルトが、来季のUEFAヨーロッパリーグ(EL)出場権獲得圏内の6位に位置するのに対してフライブルクは11位と、ホームチームにとっては落としてはならないゲームと言えた。アディ・ヒュッター監督は、今試合で負傷離脱していた長谷部誠を満を持して先発させ、今季のストロングシステムである3-4-3で相手と対峙した。長谷部は当然、今や彼の最適ポジションであるリベロでの出陣である。
かたや、フライブルクのクリスティアン・シュトライヒ監督は対戦相手によって柔軟にシステムを変更するタイプの指揮官で、フランクフルトとの対戦に際しては3-4-3を採用し、いわゆる「ミラーゲーム」へと持ち込んだ。専守防衛のうえ、各所でのマッチアップを利用して素早いアプローチからボール奪取を目論み高速カウンターを発動する。それが敵の思い描くゲームプランだったのかもしれない。
島崎英純
1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。