日本代表は「正しい道」を歩んでいる 苦戦のサウジ戦で“個の集合体”が示した総合力

相手とマッチアップするFW武藤【写真:Yukihito Taguchi】
相手とマッチアップするFW武藤【写真:Yukihito Taguchi】

欧州基準のデュエルとアジアのジャッジ 意識の差が苦戦の一因に…

 またサウジアラビア戦では、そこにアウェーの気候と審判団のジャッジというハンデが加わった。本来なら高い位置からの厳しい守備で主導権を握りたかったはずだが、正当に囲い込んでボールを奪っても相手が倒れれば笛が鳴る。つまり日本代表選手たちのデュエルの意識が欧州基準なのに、ジャッジの認識は世界の趨勢に乗り遅れていた。

 激しいチャージを続ければ、警告とFKからの失点のリスクが高まる。そこで欧州で戦う個の即席チームは、引いて堅守の判断を下し遂行した。もちろんチームの精度では見劣りしたが、ベースとなる総合力で凌ぎ切った。そしてそれはターンオーバーで競り勝ったウズベキスタン戦でも証明されている。

 これまで日本は、攻撃的MFに輸出が偏っていたが、最近はサイズを必要とするDFでも海外進出が顕著になった。チームの熟成期間の確保は永遠のテーマになりそうだが、逞しい個の集合体なら伸びしろも見込める。

 確かに今後もアジアの舞台では、国内組でチームを熟成する中東勢には苦しめられるかもしれない。だが世界を驚かせて勝つためには、おそらく正しい道を歩んでいる。

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加部 究

1958年生まれ。大学卒業後、スポーツ新聞社に勤めるが86年メキシコW杯を観戦するために3年で退社。その後フリーランスのスポーツライターに転身し、W杯は7回現地取材した。育成年代にも造詣が深く、多くの指導者と親交が深い。指導者、選手ら約150人にロングインタビューを実施。長男は元Jリーガーの加部未蘭。最近東京五輪からプラチナ世代まで約半世紀の歴史群像劇49編を収めた『日本サッカー戦記~青銅の時代から新世紀へ』(カンゼン)を上梓。『サッカー通訳戦記』『それでも「美談」になる高校サッカーの非常識』(ともにカンゼン)、『大和魂のモダンサッカー』『サッカー移民』(ともに双葉社)、『祝祭』(小学館文庫)など著書多数。

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