前橋育英、16強で“王座陥落” 史上9校目の連覇逃す「重圧に負けた」「力がなかった」

前橋育英を率いる山田耕介監督【写真:Football ZONE web】
前橋育英を率いる山田耕介監督【写真:Football ZONE web】

選手権“王者”が尚志に1-2で敗戦 山田監督「上手くいかないのがサッカー」

 第97回全国高校サッカー選手権は3日に3回戦が行われ、浦和駒場スタジアムの第1試合では連覇を目指した前橋育英(群馬)が尚志(福島)に1-2で敗れ、ベスト8を前に姿を消した。

 3分のアディショナルタイムが終わり、歓喜のガッツポーズを作る尚志の選手とは対照的に、黄色と黒の縦じまユニフォームの通称“タイガー軍団”はがっくりとうなだれ、天を仰いだ。史上9校目の連覇を狙った優勝候補は、わずか2試合で選手権の舞台から降りることになった。

 就任37年目、59歳の山田耕介監督は「上手くいかないのがサッカーですよ。毎年優勝できたらすごいチームなんでしょうが、ウチはまだまだ力がないということです」と潔く敗戦を受け入れた。

 一進一退の攻防が長く続き、互いにこれといった見せ場もなく前半が終了。大きな変化がないままの、淡々とした40分だった。ともに相手の出方を探り、チャレンジするパスが少なく決定的な得点場面を作り出せないでいた。

 後半9分、自陣ゴールやや右の20メートル付近での反則で尚志にFKを与えてしまうと、DF沼田皇海に目の覚めるような左足シュートを決められた。「2点目が大きかった」と山田監督が悔やんだように、このわずか2分後に自陣左サイドを崩され2点目を失ってしまう。これが決勝点になった。

 まだ残り時間は30分ほどあり、1点を返せば勢いづき同点、逆転の可能性は十分ある。しかし前橋育英はドリブルでの仕掛けや守備を切り裂く際どいパス、ロングボールなどの“変化球”を投じず、それまでと同じような攻撃を続けていた。

 後半31分、MF高橋尚紀がMF秋山裕紀とのパス交換から右を崩し、ようやく敵ゴールをこじ開けたが、反撃もここまでだった。

 背番号10の高橋は「相手の守備が堅く、チームを助けられなくて申し訳ない。自分たちは他チームから警戒され、難しい戦いになってしまった」と、優勝候補の重圧が少なからず内容と結果に影響したと話した。

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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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