高速化する世界のカウンター “ブレーキをかける”日本とボール奪取前に動くリバプール

労を惜しまないハードワークがリバプールの強さを支えている【写真:Getty Images】
労を惜しまないハードワークがリバプールの強さを支えている【写真:Getty Images】

湘南の曺監督も唸ったリバプールの切り替えスピード

 湘南ベルマーレの曺貴裁監督は、オフを利用してヨーロッパでサッカーを見てきたそうだ。アンフィールドでUEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ最終節のリバプール対ナポリを観戦した。

「ボールを奪うかどうかのタイミングで、もう攻撃に出ている」

 リバプールの切り替えの早さについて、そう話していた。例えば、中盤でジェームズ・ミルナーがボールを奪いそうなら、もうサイドバックのアンドリュー・ロバートソンは走り出している。攻守が入れ替わってからの切り替えの早さではなく、攻守が入れ替わる前にもう動き出している。

「奪いきれなかったら、戻ればいいだけ」(曺監督)

 曺監督は「戻ればいいだけ」と、あっさり言っているが、飛び出しかけて戻るのはけっこう大変だ。ただ、そのあたりの労を惜しまないハードワークがリバプールの強さを支えているのは間違いない。

 ユルゲン・クロップ監督はリバプールの前にドルトムントを率いていた。ドルトムントでも切り替えの早さは際立っていて、攻守の切り替えというより切れ目のないシームレスな感じである。状況の変化に対する反応の早さ、読みの良さはリバプールも同じだ。

 それにしても、ボールを奪う前から攻撃のために走り出しているというのは、なかなか凄い話である。切り替えが早いといっても、普通はせいぜい奪った直後に動き出すのが早いといった程度だろう。ボールを奪った後で、一息ついてから動き出すようなチームもたくさんある。

 サッカーの攻撃でカウンターアタックが有利なのは自明だ。敵が下がってスペースを埋められてしまう前に攻め込んだほうが得点の確率は高くなる。ただ、あまり急ぎすぎるとミスも多くなる。拙速になってしまう。そこで、選手はカウンターで攻めきるか、時間をかけても確実につないでいったほうがいいか、その判断をしなければならない。その時の状況や点差、時間帯も判断に影響する。しかし、一番大きいのはボールを持っている選手の技量だろう。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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