【データ分析/守備編】セーブ、失点、被シュートが物語る堅守 “表裏一体”で起きた現象
第32節を終えてリーグ最小失点、鬼木体制2年目で浸透した「攻撃のための守備」
「攻撃と守備は表裏一体」とよく言うが、まさにそれを体現しているチームだと言える。圧倒的なパス数が示すように、ボールを保持しながら敵陣で攻め続け、相手の攻撃機会を減らす。そしてボールを奪われても素早く回収することで、再び自分たちのターンに持ち込む。攻撃と守備を分けて考えるのではなく、これをセットとして機能させることがチームの肝になっている。
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かつての川崎といえば、得点は多いが失点も多いという、スコアの出入りの激しいスタイルだった。失点の多さは爆発的な攻撃力を生むための「必要経費」のような風潮もあったが、現在は違う。「攻撃のための守備」「攻撃だけではなく、守備でも魅せる」が鬼木達監督の合言葉だ。そして鬼木体制2年目となった2018年シーズンは、そのこだわりはより細部まで浸透してきたと言える。
もっとも分かりやすいのが、失点数だろう。昨年はジュビロ磐田の30、鹿島アントラーズの31に次ぐ32で、リーグ3位の少なさだった。リーグトップの得点数71を誇りながらも、失点を減らして得失点差を稼ぎ、最終的には勝ち点で並んだ鹿島をも上回った。
そして今季は、守備組織にさらなる磨きをかけた。第32節を終えて26失点はリーグ最少失点。残り2試合あるが、昨年の32失点よりもさらに失点を減ると見ていいだろう。
いしかわごう
いしかわ・ごう/北海道出身。大学卒業後、スカパー!の番組スタッフを経て、サッカー専門新聞『EL GOLAZO』の担当記者として活動。現在はフリーランスとして川崎フロンターレを取材し、専門誌を中心に寄稿。著書に『将棋でサッカーが面白くなる本』(朝日新聞出版)、『川崎フロンターレあるある』(TOブックス)など。将棋はアマ三段(日本将棋連盟三段免状所有)。