真の強豪クラブへ プレミアリーグ2015-16展望【サウサンプトン編】

有望株を次々と輩出

 “セインツ”の愛称で親しまれるサウサンプトンは、プレミアリーグの中でも有数の下部組織を保有している。これまでに何人もの有望株を輩出し、それら金の卵ともいうべき逸材を“育てて売る”クラブとして知られていた。歴代最高額の移籍金でレアル・マドリードへと渡ったFWギャレス・ベイル、17歳でW杯行きのチケットを手にしたアーセナルの快足FWセオ・ウォルコット、名門マンチェスター・ユナイテッドに引き抜かれたDFルーク・ショー。そして、シーズン開幕を告げる2日のコミュニティーシールドで、王者チェルシー相手に決勝 ゴールを奪ったアーセナルのMFオックスレイド=チェンバレンもまた、サウサンプトンを巣立ちビッグクラブへと渡った逸材のひとりだ。
 
 クラブは毎年のように強豪クラブの草刈り場と化している。2014年夏には前述のショーや当時の主将アダム・ララーナをはじめ、エースFWリッキー・ランバートら主力の多くを国内の強豪に引き抜かれた。今季も主軸だったフランス代表MFモルガン・シュナイデルランがユナイテッドへ、イングランド代表右サイドバックのナサニエル・クラインがリバプールへと移籍した。期限付き移籍で加入していたベルギー代表DFトビー・アルデルバイレルトもトットナムへと去っていった。
 多くの選手を失いながら昨季は一時リーグで2位まで浮上するなど大躍進を見せた。 最終的には7位に終わったとはいえ、周囲の予想を大きく覆した。チェルシーやマンチェスター・シティのように、1人の選手に30億も40億円もの金額を投じるわけではないが、国外の中堅クラブの主力や、プレミア内で出場機会を得られていない選手たちを中心にかき集める的確な補強策が光った。
 昨季で言えば、ランバートの抜けた穴にフェイエノールトでブレークしていたイタリア人FWグラツィアーノ・ペッレ、ショーの代役にチェルシーで出番のなかったDFライアン・バートランドを獲得。その後、ペッレはイタリア代表デビューを果たし、バートランドも加入後にイングランド代表復帰を果たしている。
 今季も同様に、素早い動き出しで補強を行った。長期離脱中のGKフレイザー・フォースターの 穴にはオランダ代表GKマールテン・ステケレンブルフを獲得し、その穴を補てん。さらに人材不足だったセンターバックには、2部へ降格したQPRからイングランド代表DFスティーブン・コールカーを期限付き移籍で獲得した。プレシーズンマッチでルーマニア代表DFフロリン・ガルドシュが負傷し、長期離脱が発表された数日後には交渉をまとめ上げる電光石火の獲得劇だった。また、シュナイデルランが退団した中盤にはオランダ代表MFヨルディ・クラーシという実力者を加え、戦力を保持している。

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