「今の自分はあの時を超えている」 ノジマステラ田中陽子、“ヤングなでしこ”の残像からの脱却

2012年U-20W杯の大フィーバーを、あり得ない光景だったと回想する田中【写真:荒川祐史】
2012年U-20W杯の大フィーバーを、あり得ない光景だったと回想する田中【写真:荒川祐史】

大フィーバーを呼んだ2012年U-20女子W杯の躍進 「新聞の一面が全部自分でびっくり」

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 2018年8月、U-20日本女子代表はフランスの地でU-20女子ワールドカップ(W杯)初優勝の快挙を成し遂げた。なでしこジャパンの次なるヒロインとして期待されるU-20女子代表に定着した、“ヤングなでしこ”の愛称。その先駆け的存在は今から遡ること6年前、日本開催のU-20女子W杯で当時最高位の3位に輝いた1992年以降に生まれた選手で構成された2012年大会のメンバーだった。計6得点でシルバーブーツを受賞したMF田中陽子(ノジマステラ神奈川相模原)にとって、同大会はキャリアのハイライトの一つと言えるが、本人は「正直、その時期があまり良かったとも思っていない」と赤裸々に回想する。

 2012年大会、初戦のメキシコ戦に4-1で勝利した日本は、グループリーグを首位通過(2勝1分)すると、決勝トーナメント1回戦で韓国を3-1と撃破。続く準決勝でドイツに0-3で完敗を喫したものの、3位決定戦でナイジェリアに2-1と競り勝って史上初の3位となった。会場を東京に移したグループリーグ第3戦のスイス戦以降、観客数は1万6914人→2万4097人→2万8306人→2万9427人と尻上がりに増える大フィーバーぶり。「今振り返ってもあり得ない」(田中)光景だったという。

「大会中はずっとホテルにいたので、試合以外の部分ではたまにニュースで自分たちのことが流れているなと思うくらい。でも、スタジアムには3万人近いお客さんが入って、それまでには考えられないような熱量の応援でした。ふとコンビニに行った時に、新聞の一面が全部自分ですごくびっくりしたのを覚えています(笑)」

 田中は「選手は周りに流されずに上手くやれていました」と話すが、当時最も印象に残っていることを問うと、左右両足で直接FK弾を叩き込んだスイス戦などの得点シーンではない、少々意外な答えが返ってきた。

「ドイツと対戦した時の何もできなかった感覚は記憶に残っています。ポジティブなことでは、点を決めた後というより“直前の気持ち”ですかね。『チームの流れを変えたい』と思いながらプレーしていたのが多かったので。スイス戦のFK? あれは上手く日本のペースで試合を進められて、ドリブルとか感触が良くてリズムに乗れました。でも逆に、ニュージーランド戦やナイジェリア戦は思うようにいかないなか、狙い通りの結果を得られて良かったな、と」

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