W杯4強導いた対照的な心臓部 輝くなでしこのボランチコンビ 

プレイヤー・オブ・ザ・マッチの宇津木とオランダ戦決勝弾の阪口
 大型ボランチがカナダの地で躍動した。27日(日本時間28日)の女子W杯準々決勝のオーストラリア戦で、なでしこジャパンは1-0の勝利を収めた。35度を超える灼熱のエドモントンで中盤を所狭しと走り回ったM宇津木瑠美(モンペリエ)は「やっていても厳しい戦いでした。最後は気持ちしかないです」と激闘を振り返った。
 阪口夢穂(日テレ)と組んだボランチコンビの機能性は抜群だった。左利きで当たりに強い宇津木と、右利きで小回りの利く阪口。対照的な特徴を持っているが故に、最高のコンビになった。ボール支配率を高める日本に対し、オーストラリアがカウンター攻撃を狙う構図となったこの試合、宇津木は積極的に前方へ飛び出して相手の縦パスを狙い、ことごとく相手のチャンスの芽を摘んだ。ボールを奪ったその瞬間には阪口がサポートに入り、確実にボールを収めてから攻撃に転じた。
 「日本の選手たちが持っている技術が世界に通用するということを、発揮できて良かった」宇津木のこの言葉の示すように、決勝トーナメント初戦後、日本よりも2日間も休養を多く手にしたアドバンテージに加え、元来フィジカル能力に優れるオーストラリアFW陣に危険な場面をほとんど作らせなかった。
 早くから才能が注目されていた選手だった。2005年に16歳でフル代表デビューを飾ると名門・日テレベレーザで活躍。2010年にフランスへ活躍の場を移した。しかし、前回優勝した2011年ドイツ大会でもメンバー入りしたもののレジェンド澤の陰に隠れた。銀メダルを手にした2012年ロンドン五輪は、ケガのためメンバー外。待ちに待った大舞台だった。
 今大会も、開幕当初は左サイドバックで起用された。しかし、本職のボランチに戻ると大活躍を見せている。オランダ戦では鮮やかな決勝弾を決めた阪口がプレイヤー・オブ・ザ・マッチに選出され、このオーストラリア戦では、宇津木が選出され168センチと長身でヘディングの競り合いにも強い宇津木と、技巧派阪口。なでしこを動かすたくましい心臓部となっている
 それでも、「たまたま自分がボランチという目立つところだった。みんながみんな、自分からすればMVP」と宇津木はチームメートへの感謝を忘れない。ピッチ内で見せたチームに対する献身的な姿勢は、ピッチを離れても変わらなかった。
 激闘の興奮冷めやらぬ中、7月1日(日本時間2日)には準決勝の戦いが待つ。90分を走り切ったレフティーは「3日間あるので1回リフレッシュして、身体と心を1回クリアーにして、集中し直せるようにしたい」準決勝での新たな激闘に気持ちを切り替えていた。

【了】

サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

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