日本代表「コロンビア撃破の要因」 明確な意図が生んだ2得点と幸運だったハメス投入
相手の裏を突く狙いがPK奪取と、一発退場という大きな“副産物”を生む
ロシア・ワールドカップ(W杯)グループリーグ第1戦で、日本代表がコロンビア代表に2-1で勝利した試合は、結論としてあらゆることが日本に有利に働いたゲーム展開だったが、その流れを引き寄せたのもまた西野朗監督とスタッフ、選手たちであることを評価するべきだ。
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「スタートから非常にアグレッシブに入ることができた」と指揮官が振り返るように、先制PKにつながるシーンはクリアボールからMF香川真司が裏へボールを蹴り出し、FW大迫勇也が走り込む形だったが、立ち上がりから裏を狙っていく形はシミュレーションしていたはず。結果的に大迫のシュートが弾かれ、セカンドボールを拾った香川の一撃がコロンビアMFカルロス・サンチェスのハンドを誘い一発退場になるというのは出来過ぎな展開だったが、狙いが見事にはまった大きな副産物と言える。
開始早々に先制。しかも相手が10人になったことでコロンビアのシステムが4-4-1になり、相手の攻撃のキーマンであるMFフアン・クアドラードがインサイドに入って来てくれたことはありがたかった部分で、一度ドリブルで深い位置まで行かれたがDF長友佑都がなんとか抑えきり、クロスからファーサイドに飛び込んでくる形も長友が先にコースに入ってクリアできた。
そこからペケルマン監督はクアドラードを下げ、ボランチのMFウィルマール・バリオスを入れて、左利きのMFフアン・キンテーロを右サイドに回すメンテナンスをしてきた。
一方の日本は逆に慎重に後ろでボールを回す形になり、香川のパスからMF乾貴士が左サイドを抜けてシュートに持ち込むシーンなどはあったものの、数的優位をほとんど生かせない状況で、前半39分にFKからコロンビアに同点に追いつかれてしまった。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。