スペイン代表とW杯をも恐れぬレアルの横暴ぶり 凄みすら感じたロペテギ“強奪”の衝撃

W杯開幕直前に起きた仁義なき強奪が、異例の監督解任劇として波紋を広げた【写真:AP】
W杯開幕直前に起きた仁義なき強奪が、異例の監督解任劇として波紋を広げた【写真:AP】

W杯開幕直前に起きた仁義なき強奪と異例の監督解任劇

 ワールドカップ(W杯)開幕の2カ月前に監督を解任した日本サッカー協会の決断には驚かされたが、上には上がいたものだ。スペイン協会はなんと開幕前日にフレン・ロペテギ監督の解任を発表したのだ。

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 それに先だって、レアル・マドリードが新シーズンの監督としてロペテギを招聘すると発表した。もちろんW杯後の話なのだが、レアルの発表はスペインサッカー連盟には寝耳に水だった。5月にロペテギとの契約を2020年まで延長したばかりなのだから、まさか引き抜かれるとは思っていないし、この時期に発表されるとも考えていない。仁義を欠いたロペテギとレアルに連盟会長が激怒し、即日解任となった。

 代表チームがクラブの監督を「強奪」するケースは稀にある。それこそ2006年、川淵三郎会長(当時)の「オシムと言っちゃった」に端を発したイビチャ・オシム監督のジェフユナイテッド千葉からの強奪は、契約が残っているクラブチームの監督をシーズン中に引き抜くという禁じ手だった。

 ただ、オシムが旧ユーゴスラビア代表の監督に就任した時は、パルチザン・ベオグラードとの兼任だ。1974年W杯でオランダを率いていたリヌス・ミケルス監督もバルセロナとの兼任で、W杯期間中にスペインのカップ戦の指揮を執るために一時的にスペインに戻っていた。コロンビアとナショナル・メデジンを兼任したフランシスコ・マツラナ監督など、代表とクラブの掛け持ちはけっこうある。

 つまり06年の日本のようにクラブチームからの「強奪」も珍しいなか、今回はさらに珍しい代表チームからの監督引き抜きである。過去にこんな例があっただろうか。それもW杯開幕直前という事情を考えると異例中の異例だろう。

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)3連覇を達成したジネディーヌ・ジダン監督が突然辞任したことで、レアルの監督は空席になっていた。ドイツ代表のヨアヒム・レーブ監督などが有力候補と噂されていて、ロペテギも候補の一人には挙げられていた。

 一番の問題は、この時期にレアルが一方的にロペテギの監督就任を発表してしまったことだろう。事前に連盟に連絡し、大会後に発表するならまだ穏便にすんだかもしれないのに、抜き打ちでこの時期に発表するというのは、スペイン代表の都合など微塵も考慮しないという態度にほかならない。さすがにスペイン連盟も怒るはずだ。

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西部謙司

1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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