降格危機のハンブルク、主将・酒井高徳「あの時計を止めたくない」と決意の理由

ハンブルガーSVの本拠地、フォルクスパルクシュタディオン【写真:Getty Images】
ハンブルガーSVの本拠地、フォルクスパルクシュタディオン【写真:Getty Images】

【欧州蹴球探訪|第3回】今季17位と低迷、本拠地スタジアムの脇の練習場でファン歓声

 ドイツ第2の都市ハンブルク。エルベ川支流のアルスター川河口にある港湾都市は荘厳な市庁舎や教会が立ち並ぶ、風光明媚な観光地でもある。

 ただ、ドイツ・ブンデスリーガ1部に所属するハンブルガーSVの本拠地フォルクスパルクシュタディオンは、その中心街から電車で約20分、そして近隣の駅からは徒歩で20分以上掛かる郊外にある。試合日にはシャトルバスなども発着するが、これほど不便な場所であってもハンブルク・サポーターは毎試合、このスタジアムのスタンドを立錐の余地もないほどに埋め尽くす。

 そのハンブルガーは近年、毎年2部への降格危機に晒されている。昨季は最終節で残留を争うヴォルフスブルクとの死闘を制して自力での残留を決めたが、今季もまた、その長く厳しい試練の時を迎えてしまった。クラブは昨季の残留に貢献したマルクス・ギズドル監督を途中解任してベルント・ホラーバッハ監督に後を託したが立て直せず、そのホラーバッハ監督をも解任して現在はクリスティアン・ティッツ監督が指揮を執る。

「フォルクスパルクシュタディオン」の脇にあるハンブルガーSVの練習場。時折太陽の光が射し込む平日の穏やかな空気のなかで、多数のサポーター、ファンが選手たちの登場を心待ちにしている。チーム成績が向上せずに期待に応えられない状況にも関わらず、彼らのチームへの献身的なサポートは少しも揺らいでいない。スタジアム内にあるクラブハウスから練習場へと繋がる階段の上に選手たちが姿を現すと、サポーターたちが一斉に歓声を上げる。17位に低迷し、今度こそ降格の危機が迫るなかで、それでも彼らはクラブの未来が明るいと信じている。

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島崎英純

1970年生まれ。2001年7月から06年7月までサッカー専門誌『週刊サッカーダイジェスト』編集部に勤務し、5年間、浦和レッズ担当を務めた。06年8月よりフリーライターとして活動を開始。著書に『浦和再生』(講談社)。また、浦和OBの福田正博氏とともにウェブマガジン『浦研プラス』(http://www.targma.jp/urakenplus/)を配信しており、浦和レッズ関連の情報や動画、選手コラムなどを日々更新している。2018年3月より、ドイツに拠点を移してヨーロッパ・サッカーシーンの取材を中心に活動。

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