“銀河系レアル”のスターから前例なき挑戦へ 貴公子ベッカムが放ったサッカーへの情熱

ベッカムのMLS移籍は、トッププレーヤーの先駆者となった【写真:Getty Images】
ベッカムのMLS移籍は、トッププレーヤーの先駆者となった【写真:Getty Images】

“飼い殺し”から一転、大団円での米MLS挑戦へ

 結局、ベッカムはレアルで4シーズンをプレーするが、そのラストシーズンでクラブを率いた名将ファビオ・カペッロ監督との関係は、ファーガソン監督の時とは違って一度は衝突しながらも強い絆が結び直されるものだった。それはベッカムが、トッププレーヤーとしては先駆者となる米MLSへの移籍を決めたことが発端になった。

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 ベッカムは07年1月に、7月1日からMLSのロサンゼルス・ギャラクシーでプレーすることを発表する。当然、カペッロ監督としては面白くない。すると、厳格な指揮官はシーズンの残り試合でベッカムを起用しないことを明言した。いわば、飼い殺し宣言である。

 それでもベッカムは、トレーニングで手を抜かなかった。その姿勢はチームメイトの心を動かし、選手たちからカペッロ監督にベッカムの起用を直訴するに至る。その結果、翻意したカペッロ監督は2月中旬からベッカムをピッチに送り込んだ。そして、このシーズンにレアルはベッカム加入から初めてリーグ戦のタイトルを獲得。最終的には大団円で、スペインでのプレーを終えることになった。

 アメリカにプレーの場を移したベッカムは、そのこと自体が当時のトッププレーヤーとして異例だったが、またしても新たな試みに打って出る。シーズン制の違うアメリカでプレーするベッカムは、レアル時代の指揮官であるカペッロ監督が率いるイングランド代表でのゲームに向けてコンディションを維持するため、09年1月からACミランに期限付き移籍をすることになった。つまり、MLSのオフ期間にヨーロッパに戻るという、逆方向の“出稼ぎ”である。

 前例のない試みであり、ミランでのプレーに心地よさを感じて期限付き期間を延長までしたことで、ロサンゼルスのファンからの怒りも買った。しかし、その翌年にも1月からミランに加入するという、2年連続でまとまったオフのない生活を送ることになった。

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