中島翔哉が見せた一つの光明 ハリルJの“秘密兵器”となるために必要なのは?

「最初から出た場合は、より周りの関係がないといけない」

 中島の個人能力を証明するには十分な2試合だったが、さらに長い時間プレーしていくとなれば、やるべきことも変わってくる。「最初から出た場合はより連係とか周りの関係がないといけないと思います」と中島。ウクライナ戦では柴崎や本田圭佑(パチューカ)が相手を消耗させていたこともあり、ウクライナのディフェンスも前半より明らかに間延びして、特長を発揮しやすかった部分はあるだろう。

「もっといろんなことをやりたいと思ってますし、自分の武器というか特長を出していくことが日本にとっても大事だと感じました」

 マリ戦後にもそう語っていた中島は、限られた時間のなかでも着実にプレーの引き出しを増やしている。ウクライナ戦で存在価値を示した味方を生かすパスやFKも、ポルトガルでブラッシュアップ。「前で下がらずボールを取る」ディフェンスや相手を引き付けて味方に時間とスペースを与えるなど、さらに見せていくべきプレーもある。

 今回の2試合で、観る者に最もインパクトを与えたことは間違いない。このまま順調にクラブで結果を出していけば、5月下旬に行われる国内キャンプのメンバーに入ることはもちろん、5月30日のガーナ戦翌日に発表される予定の本大会最終メンバー入りもかなり濃厚だ。現時点では終盤のジョーカーとしての役割がイメージできるが、もちろん中島がそれだけで満足することはないだろう。

 チームでより重要な立ち位置になっていくためにも「これからいろんな選手のプレーとか人柄も知っていけたらなと思っています」と語る中島。小さなファンタジスタは、ハイスケールなプレーでますます存在感を高めていきそうだ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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