「パスセンスを磨いてもらった」 中村俊輔が絶賛、今も感謝する唯一無二の選手とは?

 

柳沢の“動きのカラクリ”を中村視点で紐解く

 柳沢と言えば、ボールを持っていない時のオフ・ザ・ボールのプレーに定評があり、巧みな動き出しと周りを生かす術は群を抜いていた。中村も「自分が20歳の時、ヤナギさんの動きに衝撃を受けましたからね」と証言する。柳沢のワンプレーを例に出し、中村は次のように説明を始めた。

「例えば、自分から味方に一本の横パスを入れた時、そこからダイレクトのパスが前線に出てくるタイミングを見計ってFWが動き出すのが一般的。でも、ヤナギさんの場合は違う」と力を込める。決定的な違いは、動き出すタイミングにあると中村は明かす。

「ヤナギさんは、自分が味方に横パスを出すのと同じタイミングで、もうDFから離れるような動き出しを始めている。普通に考えれば、動くのはまだ早いですよね。だって、そもそも味方にまだボールが渡っていないわけですから、前線にパスも出てきません」

 中村は身振り手振りを交えながら、プレーの描写を熱弁する。「じゃあ、その動きの意味はなんなのか?」と続けて間を置くと、“カラクリ”を中村視点で紐解いていく。

「ヤナギさんは、早めに動き出しながら、最初にパスを出した自分の名前を呼ぶんですよね。こっちからすると、まだタイミング的に早いから『え?』ってなるんですけど、呼ばれたことでヤナギさんに対して意識が自然と向く。そこで味方から自分にリターンパスが戻ってくると同時に、今度ヤナギさんはカットインして相手の逆を巧みに突く。その動きは間接視野で意識しているから、スムーズにパスを出せます」

 

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