仏日本人FWの絶妙クロス「痺れました」 代表OB指摘…キックで見せた“あえて”の動き

【専門家の目|太田宏介】中村草太のビューティフルクロス
フランス1部ル・アーヴルに所属するFW中村草太は現地時間9月19日、リーグ・アン第5節トゥールーズ戦に途中出場し、2-3で敗れるもチームの全ゴールに関与した。そのうち1つは、反撃の狼煙となった絶妙クロスからのアシスト。現役時代は日本屈指の左足の精度を誇った代表OBである太田宏介氏も、中村のパスに舌を巻いている。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)
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芸術的な軌道だった。2点を追う後半24分から途中出場した中村。その2分後に敵陣右サイドでボールを受けると、ルックアップしてディフェンスラインとゴールキーパーの間に素早いグラウンダーのパスを供給した。すると、ボールはスライディングでカットを試みる相手DFを嘲笑うかのように流れ、ボックスへ走り込んだFWジョシュ・マジャの足もとにピタリ。マジャは左足で難なくゴールへと流し込んだ。
この絶妙クロスを太田氏は「痺れました」と称賛しつつ、技術以前に重要なポイントがあったと指摘する。
「ボールをもらってパッと顔を上げた時に、GKやDFの立ち位置、味方FWのランニングコースを瞬時に俯瞰して『ここにこういう低いボール入れたら誰にも触られることなく味方が合わせられるな』とイメージを描けるかどうかがそもそも大事なんです」
そのうえで、中村の技術が光ったという。
「今回のクロスの“ミソ”はボールを蹴ったあとにちょっと足を引いた、振り切らずに止めた点にあります。ピッチがかなり濡れているなか、あえて足を振り切らずに止めたことで絶妙な強弱が付き、ボールがバウンドせずきれいなゴロのクロスになりました。きっと、力加減やボールの滑りなどいろいろなことを考えてのクロスだったと思います」
中村は開幕5試合で先発出場はまだ「1」と、定位置確保へ挑戦が続いている。それでも、太田氏は今回のアシストを含む2得点関与のインパクトが「すごく大きい」と主張。今後のさらなる活躍へ次のように期待を寄せる。
「中村選手は、リーグ・アン初挑戦で、なおかつ苦しいチーム状況にしてはものすごくうまくプレーできていて、攻撃の部分でインパクトを残せていると思います。なので、今後はパスだけでなく、Jリーグ時代のような狭いエリアをドリブル突破で抜け出してフィニッシュからのゴールといったシーンも見せてほしい。ゴールは時間の問題でしょうね」
Jリーグから直接欧州5大リーグへと移籍して、新天地で地位を築きつつある中村。現在の調子を維持できれば、より大きなインパクトをフランスの地で残せそうだ。

太田宏介
太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。





















