横浜FM内定の逸材「発揮できる環境だと」 J1で争奪戦も…クラブから示された”将来”で決断

横浜FMへの内定が発表された東洋大学FW高橋輝
4月24日、東洋大学4年生FW高橋輝の横浜F・マリノス入り内定が発表された。
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高橋の特徴は爆発的なスピードとドリブル突破、そしてクロスなどのチャンスメイクの質の高さにある。こうした特徴はサイドプレーヤーとして多くあるものだが、彼の能力をもっと噛み砕いて説明すると、オフ・ザ・ボールの動きの質が高く、常に状況を確認しながら細かいポジショニングを取って、ボールを受ける段階ではすでに複数の選択肢が頭に入った状態で仕掛けたり、連動したりできる点にある。
何度か高橋とプレー談議をしたことがあるが、彼の視野を解説すると、まずボールを受ける前に自分の近くにいる選手の立ち位置や角度を見てマークを把握し、味方が自分にパスを出すと察した瞬間に目の前の相手とさらに奥にいる味方のFWや相手CBを視野に捉えて、パスコースやドリブルルートを把握する。
実際にボールが来ると、目線を落とすことなく相手と味方の動きを見ながら、ファーストタッチの置き所を決めて、2軸トラップから相手を剥がしながら次のプレーに素早く入る。
「ドリブルで仕掛けるのか、フリックで斜めに差し込んで動き出すのか、リターンパスにするのか、ドリブルと見せかけてスルーパスや縦パスを出すのか。ドリブルを常に意識しながらも、一番いい方法を選択できるようにはしています」
ドリブルを警戒していたらパスやダイレクトプレーで剥がされ、パスを警戒すると一気にドリブルで切り裂かれる。左サイドからカットインも縦突破もスピード、キレ、テクニックを持っているだけに、相手DFは張り巡らされた駆け引きにも打ち勝たないといけない。まさに読みづらいドリブラーだ。
この絶対的な武器を構築したのは大宮アルディージャU-15の時だった。
「中学時代に毎日のように練習の最初にパスコントロールがあって、コーチからの『ただやるのではなく、常に自分の中でイメージと意識を持ってやるように』と言われた言葉が響いて、自分の中でパススピードとトラップにとことんこだわりながらやったんです。パスはシンプルに速いボールを意識して、当てる場所やタイミング、強弱などを考えて、滑らせるボールを徹底して蹴りました。トラップは一歩目でその次の動作に行けるように意識しました。パスありき、ドリブルありきではなく、パスもドリブルも両方行けるトラップを意識してやり続けていくうちに身体に染み込んでいきました。それは高校、大学でもずっと変わっていない習慣です」
大宮U-18ではトップ昇格は果たせなかったが、東洋大に入ると1年生からブレイクの時を迎え、一気にJクラブ争奪戦が始まった。
取材をしたときはすでにJ1の3クラブ、J2の1クラブから正式オファーが届いていたが、2つのクラブに絞った状態で激しく悩んでいた。その1つが横浜FMだった。
「マリノスは自分の得意なポジションである4-3-3の左ウィングのポジションを考えていると伝えてくれて、『何歳までにこうなっていて欲しい』と具体的な将来のビジョンも話してくれた。そこに熱意を感じましたし、実際にアタッキングフットボールで積極的に前に仕掛けていくスタイルが、僕の強みである突破力とスピード、スペースへの抜け出しなどを発揮できる環境だとも思っています」
何回か練習に参加をし、2月には関東学院大との練習試合に左ウィングとして出場し、1ゴールを挙げる活躍を見せ、すぐに正式オファーが届いたという。
「マリノスのサッカーは楽しいと思ったし、天野純選手を始め、本当に技術の高い選手が多くて、学ぶこともたくさんある。同年代もたくさんいて、(松村)晃助は同い年で代表や選抜で一緒にやっていて凄く気の利く選手。また一緒にやりたいという気持ちがあります」
そして、悩んだ結果、彼が下したのは横浜FM入りだった―。
自分と真摯に向き合った末の決断だっただろう。あとはこの決断を自分の力で正解に変えていくのみ。彼の覚悟と思いはこの先の取材で聞きたいと思うが、中学時代の教えを大事にし、コツコツと練習から積み重ねられる存在だけに、間違いなくプロになっても初心を忘れることなくベースを大事にしながら成長していくはず。黙々と自分に向き合う男の成長譚はまだ始まったばかりだ。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』、新刊は『ともに歩き出す サッカーと家族と新しい日常』(ともに徳間書店)。講演家としても全国を回っている。






















