練習参加→Jからオファーも「行っていいのか」 覚悟を決めた大学進学「即戦力になってから」

日本高校選抜FW宮本周征はエースストライカーとして活躍
高円宮杯プレミアリーグは鹿島アントラーズユースの優勝で、第104回全国高校サッカー選手権大会は神村学園高の初優勝で幕を閉じた。
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2025年シーズンを終え、各クラブユース、高体連のチームは新チームをスタートさせ、新たな戦いに向けて準備を進めている。4月のリーグ本格開幕を前に虎視眈々と上を目指すチーム、選手にスポットを当てていきたい。
今回は2月11日にニッパツ三ツ沢球技場(神奈川)で行われた「NEXT GENERATION MATCH 2026」から。日本高校選抜のエースストライカー・FW宮本周征(東京・帝京高)は、ペナルティーキックから先制点を挙げて勝利に貢献した。
「Jリーグ選抜という相手で、僕らは高校サッカーの看板を背負っているつもりで臨んだ。緊張感はあったのですが、しっかり勝って良かったです」
FWで先発出場をすると得意のフィジカルの強さと一瞬のスピード、ゴール前の嗅覚をフル稼働。最前線で質と強度を兼ね揃えた裏への抜け出し、ポストプレー、ドリブルシュート、そしてクロスへの飛び込みでゴールに迫った。前半15分にはコーナーキックのトリックプレーから、グラウンダーのボールをニアで味方がフリックし、そのボールに反応した。
「本当は左足ダイレクトで打ちたかったのですが、思っていた以上に相手が詰めてきていた。臨機応変にワンタッチでちょっと浮かせて交わしてから打とうと思った」と、とっさの判断でキープに変えると、相手のファールを誘発させてPKを獲得。同16分、冷静にGKの逆を突いて決勝弾をたたき込んだ。
宮本は1月の先行合宿では3試合で2ゴール。そしてNEXT GENERATION MATCH前の練習試合2試合でも3ゴールをマークした。驚異の決定力でチームのエースとして君臨している。
宮本が所属する帝京は選手権東京都予選準決勝で堀越高に破れ、全国大会に出場できなかった。それでも、選手権本戦が開幕する前に「高校選抜候補には入る」と聞き、しばしの休息の後、1月から本格的に身体づくりとコンディション調整に励んだ。
「選手権に出られなかったことは悔しかったのですが、高校選抜でこの思いをぶつけるつもりでした」と、まさに今その熱量をプレーで表現している。
「一応それなりの結果は残せたのですが、これだけじゃまだまだJリーグに進んだ同学年の選手たちには追いつけないと思う。もっと貪欲にやっていきたいと思います」
もちろん、まだまだゴールに飢えている。FWに転身してから、ゴールへの渇望は日に日に増している。特に昨年、U-17日本高校選抜に選出された時、2トップを組んだ鹿児島城西高のFW大石脩斗(筑波大進学予定)から大きな刺激を受けた。
「大石はワンタッチでゴールを決める数が物凄く多くて、僕も運んでシュートばかりじゃなく、周りを使いながら、最後のところで全速力で飛び込んでシュートを打つことを意識するようになりました」
J1数クラブが激しい争奪戦を繰り広げた末に大学進学を決めた同年代のライバルの存在は、宮本の探究心にも火をつけた。上田綺世(フェイエノールト)、細谷真大(柏レイソル)のプレーを食い入るように見た。
「2人とも共通して凄いのはクロスへの飛び込みの時や裏への抜け出しの時に、『自分が一番生きるゾーン』というのを分かっていて、その上で相手に身体を預けながら、最後のところで一気に前に出るスピードやタイミングが抜群というところ。そこは見習わないといけないと思いました」
さらに宮本自身も大石同様に大学か、プロで悩んでいた。複数のJ1、J2クラブの練習に参加をしていた中で、昇格争いをしているJ2クラブからオファーが届いていた。だが、「即戦力でもない存在の僕がそのままプロに行っていいのか」という疑問が消えなかった。
その中で大学は自身を帝京高に熱心に誘い、1年間指導を受けた日比威監督が率いる順天堂大への進学は決めていた。プロか、順天堂大学かと迷った末に後者を選んだ。
「高校からすぐにプロに行って短いプレータイムでやるのと、大学で1年からしっかりと試合に出てやるのとでは、成長は大学の方がすると思って決めました。日比監督からも『FWのポジションは外国人と争うことが多い』と言われて、まずは大学でしっかりと試合経験を積んで、フィジカルや技術、感覚をもっと磨いて、外国人選手に対抗できる即戦力になってからプロに行こうと思っています」
進路を決めてからはより上田と細谷のプレーを見て、分析し、取り入れるようになった。
「外国人選手に勝つためには、日本人ストライカーが持つ裏への抜け出し、最後のワンタッチでゴールを決めきるなど、そういう細かい部分を磨くしかないと思った。よりこの2人のストライカーの凄さを理解するようになりました。そこまで屈強や大型ではなくても、堂々と勝負できることを示してくれる2人の後に続けるように、もっと自分を磨いていきたいという意欲が強くなりました」
より貪欲に、より獰猛に、そして賢くゴールを奪う。これからさらに右肩上がりの成長曲線を描いていくであろうストライカーは、点を取れば取るほど、その情熱を燃え上がらせ、知性を増した状態でゴールを渇望していく。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。




















