浦和に伝えた「CBとしても見て欲しい」 3年ぶり復帰…171センチDFに芽生えた覚悟「もっとできる」

浦和レッズでプレーする宮本優太【写真:アフロ】
浦和レッズでプレーする宮本優太【写真:アフロ】

浦和に復帰したDF宮本優太

 浦和レッズは2月7日、J1百年構想リーグ開幕戦でジェフユナイテッド千葉と対戦し2-0の勝利を収めた。この試合で浦和の171cmのCB宮本優太は完封勝利と堂々たる浦和レッズ復帰戦を飾った。

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「敢えて裏に蹴るシーンもありましたが、もっともっと浦和はできるチーム。でも、戦うメンタリティー、すぐに奪い返す意識は持てていたので、この半年でもっと成長できると思いました」

 試合後のミックスゾーン。言葉の節々に責任感と覚悟が込められていた。流通経済大から浦和に加入したのは2022年のこと。そこから2023年に半年間ベルギーリーグのKMSKデインズに期限付き移籍をして同年6月に浦和へ復帰した後、2024年から出場機会を求めて京都サンガへ期限付き移籍。そこで大学時代にコーチとして自身をボランチからサイドバックにコンバートさせ、サイドバックとしてのイロハを教えてもらった曹貴裁監督の下でCBとしての新境地を切り開き、昨季はチームをJ1・3位に躍進させ、今年から3年ぶりに浦和へ戻ってきた。

「アップの時にファン・サポーターの声を聞いて、帰ってくることが出来たなという気持ちが大きかった」と口にしたように、試合前は感慨深い気持ちもあったが、試合が始まると常に声を張り上げて大きなリアクションと共に最終ラインを統率。

 相手陣内にボールが入った時のラインアップ、サイドを中心に背後を狙うボールに対するラインを下げるスピードやカバーリングのスピード。そしてプレーが切れるとCB根本健太やボランチの安居海渡などを捕まえて何度も連携や意志の確認を行なった。

 その姿はまさにDFリーダー。指示だけではなく、いいプレーには満面の笑みで両手を叩いて選手に伝えるなど、精神的な支柱としても大きな存在感を放った。

「スコルジャ監督から自分がDFリーダーとして自分の感覚でやっていいと言われていましたし、チーム全体の立ち位置や体力面、相手の状況を見ながら根本と話し合ってライン設定をしていました。ただ、このチームはもっとできるし、今日勝った時に誰も浮かれている話をしていなかったので、もうみんな次に向かっていると思います」

 CBとして、DFリーダーとして、何より浦和のサポーターにより成長した姿を見せたいというモチベーションを持って。宮本はミックスゾーンでハキハキとした口調で思いを口にしていた。

 そんな宮本に改めて自身のポジションへ思いについて聞いてみると、「ボランチ、サイドバックだけでなく、CBとしても見て欲しいとクラブに伝えた以上、どのポジションでも常に声を出して、全体を統率することを全力でやらないといけないと思っています」と覚悟をにじませていた。

 昨季のチームから主軸CBのホイブラーテン退団したことで、宮本にかかる期待はさらに高まっているがゆえに、この開幕戦のパフォーマンスはその期待に対する力強い回答だった。

 思えば宮本がCBとして初めてプレーしたのは、流通経済大柏高2年生の時だった。高円宮杯プレミアリーグEAST第10節のアウェイ・青森山田戦。その時は開始早々の2分にペナルティエリア内でハンドをしてPKを献上するなど、0-2の敗戦と苦い経験になってしまったが、失点後も下を向くことはなく、2年生ながら大きな声で仲間を鼓舞し、最後まで集中力を切らさずに戦い抜いた。

 ちなみに、奇しくもその時に2ゴールを決めたのが当時3年生で10番だったジェフユナイテッド千葉のDF高橋壱晟だった。

 あの試合以降、京都に行くまで彼がCBをやることはほとんどなかった。だが、「責任ある立場をあそこで任せられたことでより自覚が生まれました」と当時口にしていたように、その時見せたリーダーとして片鱗がプロの世界でも彼の大きな武器となって、J1の舞台で躍動し続けられている土台の1つになっている。

「CBをやり始めてからもう毎週、声が枯れそうなんですよ。毎試合とにかく喋りまくってプレーする。それが僕にやれる大きなことだと思っているので、こう感じられていること自体が幸せなことだと思います」

 様々な経験を積んで『浦和の男』として逞しくなった姿を見せた宮本。もちろん、まだ熱狂的なサポーターを満足させたわけではない。それは彼自身がよく分かっている。

「今日のゴール裏を見て、(浦和サポーターが)昨年のリーグ戦で悔しい思いをして、クラブワールドカップでも悔しい思いをしたことは本当に伝わってきた」と、闘う男の心にサポーターの思いが強烈に響いたからこそ、宮本はより自覚と責任、そして熱量を持って浦和の戦士として力強くピッチに立ち続けるだろう。

(安藤隆人 / Takahito Ando)



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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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