国立の12分で手にした“衝撃”「こういう選手が上に」 うまい→怖いへ…14番が求める存在感

尚志高新3年MF若林衣武希【写真:安藤隆人】
尚志高新3年MF若林衣武希【写真:安藤隆人】

尚志高、新3年MF若林衣武希

 高円宮杯プレミアリーグは鹿島アントラーズユースの優勝で、第104回全国高校サッカー選手権大会は神村学園の初優勝で幕を閉じた。2025年シーズンを終え、各クラブユース、高体連のチームは新チームをスタートさせ、新たな戦いに向けて準備を進めている。4月のリーグ本格開幕を前に虎視淡々と上を目指すチーム、選手にスポットを当てていきたい。

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 今回は1月31日から2月2日まで福島県のJヴィレッジで行われた東北新人サッカー大会から。昨年度の選手権でベスト4入りを果たした尚志。1回戦の高松商業戦でスタメン出場を飾り、2回戦以降は全試合途中出場を果たしたMF若林衣武希は、国立での経験を糧に新チームの攻守の要としてピッチに君臨する。

 東北新人大会、若林は昨年に引き続いて14番を背負い、MF星宗介と強固なダブルボランチを形成した。

 結果は準決勝でノースアジア大明桜に1-2で敗れてベスト4で終わったが、豊富な運動量と的確なチャレンジ&カバー、タイミングの良い仕掛けで攻撃にリズムを生み出すなど、2人が中心となってJヴィレッジのピッチで見せたサッカーのクオリティーは非常に高かった。

「国立でも後半の少し(後半33分に投入)しか試合に絡めませんでしたし、選手権は悔しい気持ちが強かった。でも、自分の何がダメだったかはわかっています」

 こう口にする若林に何が至らなかったのかを聞くと、「シンプルにフィジカルが足りていなかったし、攻撃面で決める選手、決めさせる選手になっていなかった」とすぐに答えた。

「同い年の宗介が試合に出ているのを見て、やはり彼は守備力がトータル的に高かったし、その上で繋いでゲームを作れるので、そこが試合に出られる、出られないの差だと感じました」

 この大会で一気に名を挙げてU-17日本高校選抜候補にも入ったライバルの姿は大きな刺激だった。同時に昨年のチームがなぜインターハイ、選手権ベスト4という結果を残せて、2冠を達成した神村学園を2試合ともギリギリまで追い詰めることができたのかということも理解していた。

「守備の大切さを昨年のチームは教えてくれました。帰陣の速さや球際の強さなど、トランジションの部分は意識と努力次第で誰でもできるところ。そこを妥協したり、技術に逃げたりするのではなく、きちんと全員がやろうとしたからこそ、あの結果になったし、神村学園をあそこまで追い詰めることができたと思います」

 東北新人戦ではこの言葉通り、若林と星のダブルボランチの攻守の切り替えのスピードが凄まじく、即時奪還からの二重、三重の分厚い攻撃を具現化させていた。

「守備の基準を昨年のチームが高めてくれたからこそ、今年もそれをきちんと引き継いで、その基準をさらに高められるようにしたいと思っています」

 切り替えの部分に加え、立ち位置や相手との駆け引きの質の向上も、成長の必須条件として自分に課している。国立で戦った準決勝はわずか12分の出場だったが、大きな“基準”を得た。

「国立で神村学園の(アビスパ福岡加入の)福島和毅選手とマッチアップさせてもらったのですが、質の高さに衝撃を受けました。僕はフレッシュな状態で入って、福島選手は最初からフルパワーでプレーしているのにも関わらず、その質が一切落ちないんです。僕がプレスをかけても冷静にいなしたり、決定的なプレーをしようとしたりするので、こっちもボールを持たせたらまずいと思ってプレーするのですが、オフのところで常に嫌な場所にいて本当に捕まえるのが難しかった。うまさの中に常に怖さがある。こういう選手が上に行くのだなと痛感しました」

 若林は昨年、プリンスリーグ東北、インターハイ、プレミアリーグ参入戦、そして選手権と1年間ずっと14番を背負った。今年、14番をそのまま引き継いだのは、昨年1年間で感じたことを大事にしてステップアップにつなげて行くため。

「昨年の悔しさを無駄にしないように、もっと存在感を示して、今度は国立で勝ちたいと思っています」

 ベスト4の壁を打ち破って新たな歴史を刻むべく、若林は経験した大きな財産の上に1つずつ新たな経験と知見を積み重ねていく。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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