19歳差のWキャプテン「孤立してしまう」 J2監督の苦悩…結果と成長の”両立”は「すごく難しい」

川島永嗣と角昂志郎のWキャプテン体制に【写真:河治良幸】
川島永嗣と角昂志郎のWキャプテン体制に【写真:河治良幸】

磐田は開幕節で長野と対戦

 明治安田Jリーグ百年構想リーグはJ1がEASTとWESTに分かれて、それぞれ10チームがホーム&アウェーを戦うが、J2とJ3は今回に限り同一のリーグとなり、40チームをEAST-A、EAST-B、WEST-A、WEST-Bに分ける形で、同順位の4チームによるプレーオフで最終順位が決まる。

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 志垣良新監督が率いるジュビロ磐田はEAST-Bに組み込まれた。昨年のJ2で磐田とともに、昇格プレーオフに進出したRB大宮アルディージャ、元鳥栖の川井健太監督が就任した北海道コンサドーレ札幌あたりの上位争いが分かりやすい構図だが、ハーフシーズンの戦いであり、勢いに乗ればどこが上位に躍進してくるかは予想が付かない。

 大宮で活躍したFW藤井一志など、実力者が加入したヴァンフォーレ甲府や槙野智章新監督の藤枝MYFC、昨シーズン後半戦で躍進したいわきFCといったJ2勢は言わずもがな、”カズ”三浦知良の加入で話題を集めるJ3の福島ユナイテッドFCも、寺田周平監督が3年目となり、攻守のバランスはかなり良い。

「結果と成長」を合言葉に、志垣監督は結果を追い求めながらチームの成長を加速させようとしている。もちろん大きな目標は26-27シーズンでのJ1昇格だが、この半年間で、本気で勝利を目指す戦いをしていくことで、勝ち点3を積み重ねられるチームを作っていく。結果と成長の両立に関しては「正直、すごく難しい部分です」と認める志垣監督だが「このハーフシーズンは、そこにトライできる期間でもある。勝つことは大前提ですけど、誤魔化しながら勝っても、その後は必ず落ちていく。トライしながらエラーも認める。ただ、やってはいけないエラーもあるので、そこは基準をしっかり作っていきたい」と語る。

 基本的には守備で4-4-2、攻撃で3-4-3に可変させながら、攻守で主導権を取っていくスタイルだが、指揮官は戦術的なベースの構築を押し進める一方で、約束事だけを守るのではなく、90分の中で相手を見ながら選手たちが柔軟にプレーを選択していけるチームを思い描く。その鍵を握るのが、選手間の積極的なコミュニケーションとリーダーシップだ。J3の長野パルセイロをホームのヤマハスタジアムに迎える開幕の2日前に、磐田はチームのキャプテンを発表した。来月43歳になるGK川島永嗣と大卒2年目の角昂志郎だ。

 19歳差のWキャプテンを上原力也、松原后、渡邉りょう、山﨑浩介の4人が副キャプテンとして支える。志垣監督は「30人の大所帯なので、その6人でチームをうまくまとめてほしい」と語るが、昨年もキャプテンを務めた大ベテランの川島と伸び盛りの角という二人のキャプテンを任命したのには意味がある。「リーダーに任せきりではなく、周りのサポートがなければ、その選手が孤立してしまう。みんなでチーム全員がリーダーシップを持ちながら、時にはフォロワーにも回る。その循環をつくっていければ」と志垣監督。つまり誰か一人に頼るのではなく、みんなで支え合いながら戦う集団を作っていく。そこに年齢が上か下かは関係ないというメッセージだ。

 これには副キャプテンに指名された上原力也も「そういうことだと思います。形上はキャプテン、副キャプテンというのはありますけど、全員が自覚を持ってやらないといけない」と受け止めている。チームキャプテンはサッカー人生で初めてという角自身も変に気負わず、川島はもちろん周りと協力しながら「若手とベテランをうまくつなぐ役割だったり、ピッチ内では結果や背中で引っ張れるキャプテンでいたい」と語る。昨シーズンの磐田で攻撃を引っ張った倍井謙が海外移籍のためチームを離れたこともあり、角にはより中心的な仕事も期待される。

 川島はキャプテンの相棒となる角について「この1年でも、大卒で入ってきた最初の頃と比べて、チームに対する思いや自分のプレーに対する姿勢は確実に変化していると思います。そういう意味では、この立場になったことは、また成長する良いきっかけになるんじゃないかな」と期待する。そして「監督がやることや目指すものはもちろんありますけど、最終的にピッチの中で状況に応じた判断をしないといけないのは選手」と強調するように、選手一人ひとりが責任と自覚を持ちながら、一緒に乗り越えていけるチームの環境を作り上げていきたいようだ。

 半年間18試合のリーグ戦となる大会。まずは何より開幕戦で勝利することが重要だ。志垣監督は「”相手がJ3だから”という気持ちを持たないこと。これくらいでいいや、という感覚を捨てて、今までやってきたことをしっかり実践する。それが一番大事だと思います」と語る。最初だけに、藤本主税監督が2年目となる長野に対しても分析しにくいところはあるが、キャンプからの積み上げてきたものをぶつけながら、実戦で起こる状況に対応していくことになるだろう。EAST-Bの主役に躍り出ていくのか、苦しいシーズンになっていくか、命運を占う開幕戦になりそうだ。

(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)



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河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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