恩師と再会でかけられた”意外な注文” 移籍は即決…161cmの小柄レフティーが意欲「まだまだ成長できる」

今オフ福岡から川崎に移籍したMF紺野和也
中盤の右サイドで居場所を築きあげていたアビスパ福岡から、28歳の紺野和也は今オフに川崎フロンターレへ新天地を求めた。福岡時代に自らを重用し、飛躍させてくれた長谷部茂利監督のもとで再びプレーする今シーズン。再会を果たした恩師からかけられた厳しい注文と、新たな仲間たちから毎日のように受ける刺激を成長への糧に変えながら、身長161cmの小柄なレフティーは川崎の右サイドで存在感を高めていく。(取材・文=藤江直人)
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くすぶっていた自分を覚醒させてくれた恩師との再会。今シーズンにアビスパ福岡から川崎フロンターレへ移籍した紺野和也を待っていたのは、長谷部茂利監督からかけられた意外な注文だった。
「福岡でやっていたとき以上のプレーは求めていくよ、とは言われていました」
2023シーズンから2年にわたって、福岡を率いていた長谷部監督が求めるサッカーの体現者になった。中盤の右サイドを主戦場にリーグ戦だけで66試合に出場。プレータイムは4782分に達し、合計11ゴールをあげた。
ハイライトは浦和レッズを2-1で破り、クラブ史上で初タイトルを獲得した2023シーズンのYBCルヴァンカップ決勝。緩急を駆使したドリブルで浦和を翻弄した紺野は、2つのゴールをともにアシストした。
「福岡時代のプレーに対する評価が今回の移籍につながったと思うので、そこは素直にうれしかったですね」
昨シーズンから川崎を率いる長谷部監督のもとで再びプレーできる今シーズン。チームの始動時に福岡時代を超えるパフォーマンスを求められた身長161cmの小柄なレフティーは、驚くどころか意気に感じている。
「成長しないとその期待には応えられないので。攻撃のところは自由にやらせてくれると思うし、いい状態でボールを受けられるシーンが増えていくなかで、そこからよさを前面に出せるかどうかは自分次第。逆に守備のところではシゲさん(長谷部監督)が提示する守り方が毎試合あるはずなので、それをしっかり実行していきたい」
埼玉県の武南高校から法政大学を経て2020シーズンに加入しながら、リーグ戦で42試合しか出場できなかったFC東京での3年間。そして福岡での充実した3年間と、対戦相手の川崎へ憧憬の思いを抱き続けてきた。
「自分は攻撃的な選手なので、川崎の攻撃的なサッカーは対戦していたすごく魅力的に映っていました。そのチームの一員としてプレーできる、という意味でも、オフにオファーが来たときにはほぼ即決でしたね」
実際に新天地でのトレーニングが始まってから、紺野のなかで確信に近い思いが頭をもたげている。
「技術的な部分で、自分もまだまだ成長できると思えているんですよ。優しそうな選手たちが、ピッチに入れば一人ひとりの技術が本当に高い。一緒にサッカーをしていて本当に楽しいと感じています」
特に川崎の伝統である「止める、蹴る」のトレーニングは28歳の紺野にとっても刺激だった。
「自分もフィットすると思いましたし、早くチームに馴染んでもっと、もっとうまくなっていきたい」
昨シーズンの川崎はリーグ最多の総得点67を叩き出した。独ブンデスリーガ2部のマクデブルクから新加入した伊藤達哉がチームだけでなく、リーグの日本人選手でも最多の13ゴールをマークして大ブレークした。
リーグ戦で35試合に出場した伊藤は、そのうち右サイドハーフとして24試合に先発している。そして、伊藤と同じ1997年生まれの紺野もまた、川崎での自身のポジションを次のようにイメージしている。
「基本的には右のサイドハーフというか、ウイングになるんじゃないかと思っています」
右サイドハーフでは6月に40歳になる大ベテラン、家長昭博が12試合で先発。一方の左サイドハーフでは33試合に先発したドリブラーのマルシーニョが健在と、ライバルが多い状況を紺野は笑顔で歓迎する。
「左が本職の(伊藤)達哉が左右のどちらになるのかまだわからないですし、もちろんアキさん(家長)もマルシーニョもいる。全員がすごい特徴をもっているので、いいところをどんどん吸収していきたい」
選手間の競争意識がチーム力を高めていく。そういう考え方で新シーズンに臨んでいくからこそ、長谷部監督も福岡時代を超えるプレーを求めた。そこへ川崎のレベルの高さが加わる。紺野が再び言葉を弾ませた。
「攻撃の選手である以上は、得点とアシストの数にはこだわっていきたい。さらにドリブルも自分のよさのひとつだし、自分が一人を剥がせば相手の守備も壊れていくと思うので、そこも積極的に仕掛けていきたい」
福岡では「8」だった背番号は、瀬川祐輔が柏レイソルに移籍した昨夏から空いていた「18」に決まった。
「そこまで(背番号に)こだわりがあるほうではないんですけど、そのなかでどうしても『8』は入れたいと思っていので。ただ『8』は(橘田)健人がつけているし、じゃあ『18』がいいかなと思って」
長谷部監督のサッカーを熟知しているアドバンテージに甘えるどころか、さらなる成長への糧に変える。プロ7年目の紺野は「敵チームで来たときにはやりづらさを感じましたけど、味方になると思うとすごく心強いですよね」と本拠地Uvanceとどろきスタジアムでのプレーを含めて、新天地でのデビューを心待ちにしている。
(藤江直人 / Fujie Naoto)

藤江直人
ふじえ・なおと/1964年、東京都渋谷区生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後に産経新聞社に入社。サンケイスポーツでJリーグ発足前後のサッカー、バルセロナ及びアトランタ両夏季五輪特派員、米ニューヨーク駐在員、角川書店と共同編集で出版されたスポーツ雑誌「Sports Yeah!」編集部勤務などを経て07年からフリーに転身。サッカーを中心に幅広くスポーツの取材を行っている。サッカーのワールドカップは22年のカタール大会を含めて4大会を取材した。





















