日本と酷似する「粒ぞろい」の強豪…W杯で対戦の可能性も 「アフリカの雄」モロッコの現在地

近年急成長を見せているモロッコ代表【写真:ロイター】
近年急成長を見せているモロッコ代表【写真:ロイター】

モロッコは開催中のアフリカネーションズで4強に進んだ

 W杯のグループステージF組の日本が1位か2位で通過した場合、決勝トーナメント1回戦(ラウンド32)で対戦するのはグループCの2位か1位。ブラジルかモロッコになる可能性が高い。

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 現在モロッコで開催中のアフリカ・ネーションズカップでは、モロッコが準々決勝でカメルーンを2-0で下し、準決勝に進出した。前回カタールW杯でベスト4のメンバーにブラヒム・ディアス(レアル・マドリード)を加えて強化されている。

 前回大会以降、モロッコは実質的に2回しか負けていない。23年のネーションズカップ予選、24年のネーションズカップ・決勝トーナメント1回戦で、共に南アフリカに敗れただけ。25年のアフリカ・ネーションズ・チャンピオンシップでケニアに敗れているが、この大会は自国リーグでプレーしている選手のみが参加するレギュレーションなので参考にならない。3年間の通算成績は40勝8分3敗と圧倒的だ。相手の大半はアフリカ諸国だが、2023年には親善試合でブラジルに2-1と勝利している。

 カタールW杯でみせた堅守は健在。4-1-4-1のコンパクトな陣形で相手の攻撃を寸断、鋭いカウンターアタックを繰り出す。ネーションズカップでは相手が引いてしまうので攻め込む展開になり得点に苦労する試合もあったが、正確なパスワークと多彩な崩しを披露している。

 北アフリカ諸国は古くから優れた技巧で知られている。1940~50年代にかけて活躍して「神の足」と称えられたラルビ・ベン・バレクは欧州で活躍した最初の黒人選手。80年代には別格のテクニシャンだったモハメド・ティムミを輩出した。左利きの名手で、ひとことで表せばアフリカのマラドーナだった。

 伝統の足技に堅実な守備力を加えたのが現在のモロッコだ。飛びぬけてスーパーな選手はいないが粒ぞろい。ある意味、日本代表とよく似たチームといえるかもしれない。選手層も厚く、北中米W杯ではダークホース的な存在である。

 もし日本がモロッコと対戦したらどうなるか。

 ハイプレスの威力は日本が上だと思う。ただし、モロッコは局地戦打開に秀でていて、ハイプレスをかわされるリスクもあり、そうなったときは決定機まで持ち込まれるだろう。メキシコやブラジルにも通用した日本のプレスだから、モロッコ相手にも通用すると思われるが、一瞬でも外されたときの代償は大きく、その瞬間はおそらく何度か訪れるだろう。

 ミドルゾーンの攻防は互角かモロッコがやや上とみる。モロッコにはソフィアン・アムラバトというライン間潰しのスペシャリストがいて中央突破は難しい。日本はある程度ボールを保持できるだろうが、相手のブロック内に侵入するのは容易ではなく、悪い形で奪われた時のカウンターが恐い。

 ネーションズカップR16ではタンザニアが5バックで後半19分まで持ちこたえている。5-3-2の「3」はマンツーマン気味で、モロッコのアンカーだったネイル・エル・アイナウィにもマークをつけた。この5-2-1-2のローブロックは逃げ切り用として参考になるかもしれない。

 いずれにしても、どちらが優位とははっきりいえない対戦になりそうだ。どちらかが優勢であっても一瞬でどうなるかわからない、緊張感のある張りつめた試合になりそうである。

(西部謙司 / Kenji Nishibe)



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西部謙司

にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。

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