イベント当日中止2回、黒田監督は沈黙 大混乱の町田…原FD説明「財布はデカいまま」

原靖FDがチーム状況について説明した【写真:徳原隆元】
原靖FDがチーム状況について説明した【写真:徳原隆元】

原靖FD「スポンサーの関連もありますし。財布はデカいままでございます」

 FC町田ゼルビアが混乱しているようだ。

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 兆候は去年からあった。2025年12月18日、「2025シーズン振り返りミーティング」が当日になって「諸般の事情により」急きょ延期された。12月20日になって代替日が2026年1月5日とアナウンスされたが、このときも当日になって突然中止になっている。「クラブゼルビスタ会員」のうち当選していた180人はさぞかしがっかりしたことだろう。

 1月7日の始動日を前にドタバタは続いた。5日にはスタッフ人事も大きく動いたのだ。テクニカルスタッフや栄養管理アドバイザーら3人が退任し、入れ替わるようにフィジカルコーチやフィジオセラピストら計6人の新スタッフ就任が発表された。

 そんな体制の変化よりも驚きだったのは、ずっと主力選手の動向が明らかになってこないことだった。6日になって相馬勇紀、藤尾翔太、ドレシェヴィッチ、ナ・サンホ、前寛之、白崎凌兵、林幸多郎、岡村大八、中村帆高らの主力を含む16人の契約更新を発表。そして7日の初練習の数時間前に昌子源、望月ヘンリー海輝、仙頭啓矢、中山雄太の契約更改がリリースされた。

 7日に「クラブゼルビスタ<プラチナ・ゴールド>会員」という少数の人たちを対象として開催された「キックオフミーティング」は、2025年1月に町田市民ホールで開催された会とは違い、こじんまりとした部屋で行われ、登場した選手は望月ただ一人。黒田剛監督も現れず、新体制やメンバーの資料も配られず、新スタッフが登場してお披露目される時間のほうが長いという不思議な構成だった。

 今の町田はとにかく情報が出てこない。何かを発信できる態勢ではないようだ。「2025シーズン振り返りミーティング」が延期され、中止された理由を尋ねても「諸般の事情」とだけ回答があった。オフィシャルホームページに書かれたものだけで説明は終わりなのだ。

 同じようなことは初練習後の取材対応でも起きた。2025年12月23日、Jリーグからクラブ及び黒田監督に「けん責」処分を受けたあと最初の対応ということで多くの報道陣が集まった。だが、そこで黒田監督はコメントを避けた。

「終わったということで線引きをして今年に入っているわけだから。そこにまたもう一回戻って何かをすることはクラブとしてもいいことではないし、選手たちにも迷惑がかかることなので。そこはあえてやる必要がないというふうにしてのクラブの判断なので、私は指示に従います」

 また、上田武蔵代表取締役COOは報道対応せず、「キックオフミーティング」の挨拶の冒頭に「みなさまに不安を与えてしまい申し訳ございませんでした。黒田監督と向き合い、再発防止のガバナンスを向上、改善していきたい」と語るに留めた。

 そんななかで、「キックオフミーティング」のあとに原靖フットボールダイレクター(FD)だけはしっかりと報道陣の取材に応じた。

 町田の契約更改が遅れた理由として、原FDが挙げたのはACLEだった。2025年は12月6日にリーグ最終戦を迎えたあと、9日にホームで蔚山現代戦を残していた。

「ACLが終わるまで契約更改を始めていませんでした。モチベーションを保ってACLも勝ち抜きたいと。そこから契約交渉が始まって、シーズンインが(例年より)1週間早いということで、すごく短い間にいろんなことをやらなければいけなかったし、活躍してくれた選手たちの話も随分聞かないと悪いと思っていました。時間がなかったと言えばなかった」

 また、クラブの処分などについての報道対応がないことについては「バラバラに話して、ちょっと違った出方もしたりするとご迷惑がかかる人もたくさん出てくるので、あまり発言しないということもご理解いただきたい」と語っている。

 Jリーグからの「けん責」処分を受けて、原FDは始動日にチームに対し「スタッフ、各パートで齟齬(そご)を感じたり齟齬があった場合にはすぐ言ってほしい、どんな小さなことでもコミュニケーションを取って進めていこうという話を僕からさせてもらいました。そのこと(「けん責」)は真摯に受け止めてしっかり反省をしつつ、信頼回復、誠意を持って対処していこうという話はさせていただきました」とも明かしている。

 もっとも、情報を「諸般の事情」とだけ出すに留めたり、困ったときにはいつも原FDが出てきて説明するということは、多くの人に支持されなければいけないはずのクラブの対応としてはおかしいと言わざるを得ない。クラブが急激に大きくなったことで組織が追いついていないのかもしれないが、選手同様、この点も町田は強化していかなければいけないだろう。

 もう一つ心配になったのが、「キックオフミーティング」の規模や補強の少なさから、町田が財政的に厳しくなっているのではないかということだった。そのことを原FDにぶつけたところ、こんな回答だった。

「ご心配ありがとうございます。本当に。そういうことはございません。場所を取るだとか、そして半年シーズンの向かうにあたってどういう場所がいいかっていうことと、それとスポンサーの関連もありますし、そういうことも含めてでございます。財布はデカいままでございます」

 ならばその大きな財布をクラブの充実のためにもぜひ使ってほしいものだ。

(森雅史 / Masafumi Mori)



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森 雅史

もり・まさふみ/佐賀県出身。週刊専門誌を皮切りにサッカーを専門分野として数多くの雑誌・書籍に携わる。ロングスパンの丁寧な取材とインタビューを得意とし、取材対象も選手やチームスタッフにとどまらず幅広くカバー。2009年に本格的に独立し、11年には朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の平壌で開催された日本代表戦を取材した。「日本蹴球合同会社」の代表を務め、「みんなのごはん」「J論プレミアム」などで連載中。

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