高校の練習参加で衝撃「誰だろう」 父から伝えられた驚きの存在…前倒しJ入りの逸材が明かす“転機”

関富貫太は2026年から横浜FMに前倒しで加入が決まった
2025年シーズン。残留争いを演じた横浜F・マリノスにおいて、リーグ戦終盤に現れた1人の特別指定選手が重要な働きを見せて残留を手繰り寄せた。
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桐蔭横浜大2年生の左サイドバック・関富貫太。今年8月に2028年シーズンからの加入として内定発表された男は、J1リーグ・第29節の川崎フロンターレ戦でいきなりJ1デビューを果たし、第30節のアビスパ福岡戦では初スタメンを飾って2-0の勝利に貢献。そして第33節の柏レイソル戦、第37節のセレッソ大阪戦、最終戦の鹿島アントラーズ戦と左サイドバックとしてスタメン出場を果たし、堂々たるプレーを見せた。
精度の高い左足のキックとトップ下やボランチ経験者として視野の広さやパススキル、そして的確な状況判断能力と運動量を兼ね揃えた逸材として、一気に世代を代表するサイドバックに成長。加入前倒しで2026年シーズンからの横浜FM入りが決まり、今年1月開幕のU-23アジアカップサウジアラビア大会に出場するU-23日本代表にも選出されている。
大学生活最後となったインカレ期間中に独占インタビューを実施し、彼の本音、これまでの歩み、将来への展望に迫った。
全4回の第1回は人生のターニングポイントとなった日体大柏高校への進学の経緯について。
◇ ◇ ◇
「中学、高校とあまり自分の進路にこだわりがなかったんです。中学ももともと小学校時代のコーチが独立した形で誘ってもらって入った流れでしたし、高校も地元の学校に進もうと思っていましたから」
神奈川県出身の地元のFC相模野でサッカーを始め、中学時代は相模原市を拠点に置くFASCINATEジュニアユースの1期生としてプレー。高校進学時は家が近い東海大相模、桐光学園などを進路選択に入れていた。
ちょうどその時、「グループラインに日体大柏のセレクションの案内が届き、『行きたいと思った人は言ってください』とあって、ちょっと行ってみようとチームメートの何人かと一緒に行きました」と、何気なく唯一の県外となる日体大柏のセレクションに参加をした。
そこでアジリティーの高さと左足のキックを関係者から目をつけられ、日体大柏高サッカー部からの誘いの声がかかった。参加をしたのは柏レイソルU-18と日体柏サッカー部の合同セレクションだった。
「セレクションのとき『受かっても日体柏のサッカー部の方だよ』とは言われたのですが、当時、僕にとってはJユースなんて全く詳しくなかったし、知らない世界。『雲の上の存在』だと思っていたので、そこは特に何も思いませんでした」
だが、「やっぱり家の近くがいい」と思った関富は、一度断りを入れたという。すると当時、日体柏を率いていた酒井直樹監督(現・柏U-15コーチ)から「もう一度練習参加をしてみないか」と誘いを受けたことで、日体柏の練習に参加をしてから決める流れとなった。
練習参加当日、グラウンドに行くと1人だけ高校生ではない選手が混じっていた。最初は「誰だろう」と思いつつ、周りの選手たちのレベルの高さと練習の強度と質に驚きを感じていた。その一方で、高校生ではない選手は格段にレベルが違う。紅白戦では2トップを組むとその上手さに自分の力を引き出されているような感覚になった。
刺激満載の練習参加を終え、一緒に来ていた父の元へ行くと、「あの人、元レイソルの工藤壮人選手だよ」と言われて衝撃を受けたという。
「あの時、工藤さんは髭を伸ばしていたのですぐには気づきませんでした。でも、小学校の時によくプレーを見ていた選手だったので、見た目は自分のイメージとはちょっと違っていたのですが、『あの工藤選手だ』と驚いたのをはっきりと覚えています」
当時、ちょうど工藤はサンフレッチェ広島から契約満了となり、次なるクラブが見つかるまで母校(プレーは柏レイソルU-18)でもある日体柏の練習に参加をしていたのだった。その偶然が重なり、関富は「ここでプレーしたい」と入学する覚悟を固めた。
「僕は何か刺激を受けたり、レベルの高い環境を体感したりすると、結構ワクワクするタイプなので、あの1日で僕の中でサッカーへの火がより灯りましたね」
入学前の2月に入寮し、初めて親元を離れての生活をスタートさせると、そこからさらに信じられないような道が待っていた。
「いきなりAチームに呼ばれたんです。新1年生でAチームスタートは僕を含め3人しかいなくて、そのうちの2人はレイソルU-15出身と鹿島アントラーズジュニアユースつくば出身。僕だけ『どこそれ?』というクラブ出身だったので、正直僕も驚きました」
後ほど知ることになるのだが、関富が入学したと同時に日体柏監督から柏U-18の監督に就任した酒井監督から高い評価をもらっていた。ゆえに高校として千葉県リーグ1部を戦いながら、夏には柏U-18の練習に呼ばれて参加。その後、高校最後となる全国高校サッカー選手権大会千葉県予選では、決勝トーナメント1回戦の野田中央戦に出場。チームは続く2回戦で流通経済大柏に1-2の逆転負けを喫したが、関富は新チームが立ち上がるタイミングでもう一度、柏U-18の練習に呼ばれた。
そして、翌年1月に日体柏サッカー部から柏U-18への転籍が決まった―。
(安藤隆人 / Takahito Ando)
安藤隆人
あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。













