MVPに輝いたスーパールーキー「絶対来る」 プロ入りの後輩に刺激…来年へ「足踏みせずに」

1年生ながら筑波大学で活躍する大谷湊斗【写真:安藤隆人】
1年生ながら筑波大学で活躍する大谷湊斗【写真:安藤隆人】

強豪・筑波で1年生から主力となったMF大谷湊斗

 筑波大学の優勝で幕を閉じた第74回全日本大学サッカー選手権大会(インカレ)。今年は全国7地域のリーグ戦で上位となったチームが12月8日に一発勝負のプレーオフを戦い、勝者が関東王者の筑波大学、九州王者の福岡大学、関西王者の関西学院大学、東海王者の東海学園大学がいるそれぞれのリーグに入って決勝ラウンドへ。敗者が強化ラウンドとなるリーグ戦に移行するという方式で覇権を争った。

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 ここではインカレで輝いた選手たちの物語を描いていく。第22回は9年ぶり10回目の優勝を手にした筑波大学の1年生MF大谷湊斗について。インカレ決勝でチームを優勝に導く2ゴールと圧巻の活躍を見せたスーパールーキーに迫る。

「試合前のミーティングでも相手はオフサイドトラップをかなりかけてくるというスカウティングがあったので、そこを掻い潜っての裏は狙っていました」

【4-2-3-1】のトップ下で出場をした大谷は、1.5列目の位置から国士舘大が敷く高いDFラインの裏を虎視淡々と狙っていた。前半はまず失点をしないということと、国士舘大がリズムよくサイドを経由して攻めてきたこともあり、大谷は前線からのプレスと果敢なプレスバックで守備面での貢献を見せた。

 狙い通り0-0で迎えた後半、前半の我慢から解放されるように一気にその能力を解き放った。後半24分、DFラインのポゼッションから右サイドのDF布施克真に大きくサイドチェンジが送り込まれた瞬間、DFラインがボールの動きに目線が行っていると判断。布施が中央に身体を向けてそのボールを受けに行ったのも確認し、インカーブのボールがDFラインの裏に届くと察知し、一気にDFラインの裏へ動き出した。

「克真とは普段の練習から『俺の動き出しを見ていて』という話はしていたので、あのシーンでは絶対に来ると思った」

 普段から築き上げてきた信頼関係通り、布施からの左足クロスが届くと、大谷は追いかけてきたDFに身体を当ててボールとの距離を遠ざけてから、飛び出してきたGKの位置をよく見て身体を拗らせながらゴール左上隅を射抜いた。

 拮抗した試合の中で生まれた貴重な先制弾。このゴールで試合の流れは一気に筑波大へ。大谷を軸にテンポの良い攻撃を仕掛けると、後半26分にFW山下景司がセットプレーから追加点。そして後半42分には中盤のヘッドの応酬から、センターライン手前にいたフリーのMF篠田翼の前にボールがこぼれると、大谷は一度相手DFラインを確認してから、「翼、出せ!」と大きな声を出して裏のスペースに飛び出した。

 その声に反応し、動きを見た篠田からダイレクトで浮き球のパスが届くと、落下地点を素早く予測して、DFに身体を預けながらボールをキープし、そのまま抜け出してGKと1対1に。飛び込んできたGKを冷静に交わすと、そのまま無人のゴールに蹴り込んだ。

 試合を決定づける3点目。チームはそのまま3-0で試合をクロージングし、優勝と個人的には大会MVPも獲得した。

「筑波大はどの選手もちゃんと見えているし、見ているエリアが広い選手が多いので、タイミングよく動き出せばボールが来る。筑波に来て、より一発で裏のスペースを狙うことや、動き出しのタイミングにこだわるようになりました」

 昌平高時代とポジションが一列前になったことで、より攻撃力が磨かれた。そこに筑波大のレベルの高さによって、シンプルにラインブレイクをするという能力がプラスアルファされた。ボール保持に長け、自らゲームメークも可能で、使われる側としても生きる。まだ大学1年生であるが、1年目でとてつもなく大きな財産を手にした。

 ただ、これで満足をしているはずはなかった。来年は2冠チームとして他大学はモチベーション高く臨んでくるし、攻撃の核になる大谷へのマークも厳しくなる。それは覚悟の上だ。

「来年はもっと結果に拘らないといけないし、ゴールという結果を残せるようにレベルアップしたい。それに(昌平高の)後輩2人がプロになった。(山口)豪太(湘南ベルマーレ内定)は個人で打開できるし、(長)璃喜(川崎フロンターレ内定)は得点力がある。先を越されてしまったので刺激は受けていますが、頑張って欲しい存在ですし、ここで足踏みをせずに追いついて追い越していかないといけないので、ここからが大事だと思っています」

 激闘を終え、しばしの休息に入る。身体を休めながらも、後輩たちが出場する高校選手権を見ながら心をもっと充実をさせて、スーパールーキーは2年目のシーズンに備える。

(安藤隆人 / Takahito Ando)

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安藤隆人

あんどう・たかひと/岐阜県出身。大学卒業後、5年半の銀行員生活を経て、フリーサッカージャーナリストに。育成年代を大学1年から全国各地に足を伸ばして取材活動をスタートし、これまで本田圭佑、岡崎慎司、香川真司、南野拓実、中村敬斗など、往年の日本代表の中心メンバーを中学、高校時代から密着取材。著書は『走り続ける才能達 彼らと僕のサッカー人生』(実業之日本社)、早川史哉の半生を描いた『そして歩き出す サッカーと白血病と僕の日常』、カタールW杯のドキュメンタリー『ドーハの歓喜』(共に徳間書店)、など15作を数える。名城大学体育会蹴球部フットボールダイレクターも兼任。

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