想定を超えた「15,567」 寒雨のなかで…柏木陽介が引退試合で焼き付けた景色「岐阜が変わった1日に」

柏木陽介が笑顔で引退試合を終えた【写真:徳原隆元】
柏木陽介が笑顔で引退試合を終えた【写真:徳原隆元】

柏木陽介氏の引退試合がFC岐阜のホームで行われた

 柏木陽介氏の引退試合が12月21日、岐阜メモリアルセンター長良川競技場で開催された。試合後の会見では「岐阜で開催できた意義は大きい」と語った。

【注目】シーズン30点は堅い」 柿谷曜一朗が選ぶ“ドリームチーム”と『Jクラ』で対戦できる企画がスタート

 引退試合では「YOSUKE FRIENDS」と「KASHIWAGI GENERATIONS」の2チームに別れ、柏木氏は前半20分と最後の20分を「YOSUKE FRIENDS」、前半途中の20分と後半開始の20分を「KASHIWAGI GENERATIONS」として出場した。

 試合では長短のパスを織り交ぜながら攻撃を組み立て、現役時代さながらのプレーを披露。終了間際に獲得したPKシーンではキッカーを務め、パネンカで冷静に決めて試合を締めくくった。

 試合後の会見では「すでに引退はしていたので、引退しきったという感じはないです。でも、最後にたくさんの上手い選手たちとプレーできたことはすごく嬉しかったですし、それを岐阜で開催できたのが本当に嬉しかった。終わって悲しい感じじゃない。本当に大変だったと思うんですよ、FC岐阜含め、うちのスタッフ。その大変さを知っていたので、そういうのも含めて、あと来てくれた人、スポンサーの皆さんに感謝っていうところだけです。本当に」と冒頭では引退試合に関わった人への感謝の気持ちを述べた。

 あいにくの雨のなかで試合は行われ、一時は止んでいたが後半には再び強く雨が降り出した。それでも試合には1万5567人と多くの人が駆け付け、岐阜サポーターだけでなく、サンフレッチェ広島や浦和レッズなどのユニフォームを着た人も多数来場していた。

 柏木氏は「岐阜がなんか変わった一日になったんじゃないかと思えるぐらい」と感嘆。続けて「雨なので正直1万人ぐらいになるかもしれないなと思っていたけど、それ以上に見たいと思ってくれる人がたくさんいたことは、すごく嬉しかったなと思う。岐阜でこういう活動ができて、たくさんの選手たちの本気のプレーを見れたっていうのは本当に良かったんじゃないかなと思う。FC岐阜のスタジアムがこういう風に(人が)入った景色が見れたのは、サポーター含めてすごく大きいことかなと思います」と感慨深く言及している。

 終盤には足を負傷しながらのプレーとなったが、「なんであんな坪ちゃん(坪井慶介氏)のこと真剣に追いかけたんやろうって。もうあの肉離れがすべてを物語っていたので。たぶん引退試合で雨が降ったのは、初じゃないでしょうか。それぐらい『晴れ男』であり『太陽』という名前を付けられたのに、こんな雨降った中で試合をして、『これで終わりにしろよ』っていう雨だったのかなって思ってます」としつつも、「『サッカーってこうだよなぁ。楽しいな』って、改めて感じさせてもらってもらいました」と振り返った。

 柏木氏はFC岐阜に所属していた2023シーズン限りで現役引退を決断し、24年には岐阜のクラブアンバサダーに就任。サッカー以外では、鵜飼観覧船の船頭を務めるなど、クラブ活動やそれ以外も含めて精力的に活動している。

 岐阜の魅力について「やっぱり自然の中に行くとその土地の良さを感じられるのが、すごく好きなところです」と触れ、今後の岐阜については「サポーター、チーム、クラブの皆さんがこの景色を見て『やっぱりこれって最高だな』って思ったと思うし、人が入った中で試合をする喜びを感じてもらえたんじゃないかなと思う。やっぱりサッカー選手である限り、たくさんの人が入ってもらった中で試合をするのはすごく気持ちいいことであり、ありがたいことなので、本当にもっと成長していかないといけないとクラブとしても思わないといけない」としている。

 そして今回は柏木氏やスタッフやクラブが動いて引退試合が実現していたなか、「行政の方たちにもっと手伝ってもらえたら良かったなと思うし、自分からアピールすれば良かったなと思う」としつつも、「クラブを通して、そして僕のスタッフも通して、行政さんを通さずにここまでできたってのは、一つ自分の力を感じた部分ではある。今後は一緒にもっとそれをやっていけたら、もっと岐阜自体が盛り上がっていくんじゃないかなって心から思えたので。どこの行政さんでもいいんで、岐阜を盛り上げるために一肌僕も脱ぎますし、一緒に何かできたらもっと岐阜自体が盛り上がる場所になるんじゃないかなという風に思います」と締めくくった。

 岐阜にマイホームも建て、骨を埋める覚悟でやってきた柏木氏。今後もクラブだけにとどまらず、岐阜県全体を積極的に盛り上げていく。38歳のセカンドキャリアは始まったばかりだ。

page1 page2

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング