Jリーグ退会に…声震わせた主将「僕の責任」 クラブの歴史「途絶えさせてしまった」

沼津の菅井拓也「選手たちが積み上げてきたものを途絶えさせてしまった」
Jリーグ退会という厳しい現実に、キャプテンは声を震わせた。アスルクラロ沼津は12月14日、J3・JFL入れ替え戦の第2戦でレイラック滋賀と1-1で引き分け。第1戦では2-3で敗れていたため、2戦合計3-4でJFL降格が決まった。途中出場したMF菅井拓也は、「申し訳ない気持ちでいっぱい」と肩を落とした。
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前半22分に先制を許すと同24分には追い付いたが、後半に2人の退場者を出して万事休すとなった。「具体的にどうと言われれば難しいですけど、すべてにおいて持っている力を、グラウンドでチームとして表現できなかったのではないかなと思います」。ミックスゾーンに現れた主将は、声を震わせて語った。
今シーズンは、昨季までの主力が抜けたことで開幕から厳しい戦いを強いられたが、「別に今までも戦力があるとは思っていないですし、ただ去年の試合に出ている選手がいなくなっただけで、今年は今年の色があると思っていました」と菅井。9年間プレーする沼津への思いを、目に涙を浮かべながら語った。
「このクラブがJに上がったときから在籍させてもらって、JFLからJに上げた選手たちと僕はプレーしています。この地域をサッカーで盛り上げる、そういった選手たちが積み上げてきたものを途絶えさせてしまった。いろんな人や選手から連絡もらいましたし、地域に対して申し訳ない気持ちでいっぱいです」
来季からはJリーグに戻るための戦いとなるが、「簡単に口には出せないなと思いますし、そんなに甘いものではないと思っているので」と現実を見つめる。「ただこの1年間を、一人一人サッカー人生のキャリアで胸に刻んでいかないといけないし、こういう思いは忘れがちになる」と光景を目に焼き付けた。
この日は、8255人ものサポーターが応援に駆けつけた。これも沼津がJリーグでの9年間で積み上げてきた財産だが、「たくさんの思いとか、声に応えられなかったなって。応えたかったなって。せっかく来てくれたのに、申し訳ないなと思っています」と菅井。この声援に応えるために、意識の変化を訴えた。
横に長い静岡県だが、沼津市がある東部地域には、長らくJクラブがなかった。だからこそ特別な思いを持つサポーターも多いが、「エスパルスとかジュビロではなくて、アスルクラロ沼津に入りたい、見たいと思ってもらえるように、まずはグラウンドで結果を出すことが必要だと思います」と菅井は話す。
「なおかつ僕らは子どもたちのサッカースクールから始まったクラブで、そういう活動であったり、地域と近い距離のクラブ。そういうクラブであり続けるべきで、サッカー選手ですけどサッカーだけではなく、そういったところで意識を変えていかないと子どもたちが入りたいとか、憧れる場所にはならない」
沼津がJリーグで過ごした9年間をすべて知る菅井は、「他のクラブとは違うところを、僕は見て感じていたので。それを今できていないのは僕の責任」と降格という現実を痛感する。今後はまだわからないとしながらも、「そういったクラブであり続けたいなと思っています」となんとか前に進もうとしていた。



















