昇格導いたJ助っ人「皆さんから逃げたい」 取材で見せた”意外な素顔”「自分より他の人に」

千葉FWカルリーニョス・ジュニオのゴールで徳島に勝利
17年間、開かなかったJ1リーグへの扉を開けたストライカーは、試合後の動きも狡猾だった。12月13日のJ1昇格プレーオフ決勝、ジェフユナイテッド市原・千葉は徳島ヴォルティスに1-0で勝利し、17年ぶりのJ1昇格を決めた。過去5度のプレーオフで勝てなかった千葉に、決勝ゴールをもたらしたのは、FWカルリーニョス・ジュニオだった。
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後半24分のことだった。右サイドからDF高橋壱晟が上げたクロスに対し、ゴール前で巧みに相手のマークを外したカルリーニョス・ジュニオがヘッドで合わせる。「(頭に)当たった瞬間にゴールが決まると確信した」と振り返るボールはゴール右に決まり、引き分けでもJ1昇格の決まる千葉が先手を取った。その後、徳島の反撃を凌いだ千葉はこのまま勝利をつかみ取った。
ミックスゾーンでは決勝ゴールを挙げたヒーローを、多くのメディアが待っていた。ところが、準決勝の後には幼い子供を抱きかかえてミックスゾーンに現れて取材陣をかわしたブラジル人は、ここでも「通訳がいない」といたずらっぽく笑って報道陣から逃げたが、さすがにこの日ばかりは広報に連れ戻された。
昇格を決めるゴールを決めた9番は、「17年間という長い時を経て、自分たちはようやく(J1への)扉を開くことができました。それに値するグループだったと思います」と胸を張り、「プレーオフに進出した4チームとも、クオリティの高いチームでした。どのチームが昇格しても驚きではありませんでしたが、我々はそれに値するグループだったので昇格できたのだと思います」と、苦しかったプレーオフを制した安堵感を見せた。
得点シーンについては「それぞれが役割をしっかり果たした結果のゴールだったと思います。壱晟のクロスは完璧でしたし、自分も9番としてポジショニングが的確だったので、ああいうゴールが生まれたと思います」と白い歯を見せた。
このプレーオフ2試合ではフクダ電子アリーナが、圧倒的な後押しをしていた。今回、初めてプレーオフの2試合をホームで戦えたことは、千葉にとっても大きな利となった。ブラジルでのプレーも経験しているカルリーニョス・ジュニオも「素晴らしい景色が、そこに広がっていて、特に自分たちが苦しいとき、僕たちのプラスアルファの力を引き出してくれる声援があります。素晴らしいサポーターに支えられている」と、昇格を後押ししてくれたファン・サポーターに感謝した。
昨季のJ2得点王であり、J2MVPにも輝いたFW小森飛絢の穴を埋める存在として期待されて加入していたカルリーニョス・ジュニオは、「夏休みの宿題をやり終えた気分」と昇格を達成した想いを口にし、「この素晴らしいグループと夢を叶えられたこと、努力が報われた感覚を共有できたのは良かったです」と、J1昇格の喜びをかみしめた。
来季以降も千葉でプレーすることになれば、来シーズンはJ1の選手達から、より厳しくマークされる。また、試合後のミックスゾーンで待つ記者も、この日のように多くなる。「なるべくであれば、皆さんから逃げたい。自分はシャイなので。職業柄、対応するのは当たり前だと思うのですが、自分より他の人に話を聞いてもらえたらなと思います」と笑いながら取材嫌いであることを認めたカルリーニョス・ジュニオだが、歴史的ゴールを決めたストライカーに引き続き、注目を集める活躍をしてほしいと、千葉のファン・サポーターは願っているはずだ。
(河合 拓 / Taku Kawai)





















