空白期間に意味…必然だった「522日ぶり」弾 逆算で追及した“三役WB”の真骨頂

追加点を決めた堂安律【写真:増田美咲】
追加点を決めた堂安律【写真:増田美咲】

「何でもできるWB」を体現した堂安律

 “逆算男”が見据える次なる“現実”はーー。日本代表MF堂安律は11月14日、豊田スタジアムで行われた国際親善試合ガーナ戦(2-0)で貴重な追加点を挙げた。後半15分、“堂安ゾーン”からニアサイドを打ち抜き1年5か月ぶりのゴールを決めた。北中米ワールドカップ(W杯)アジア最終予選で無得点だった背番号10だが、本大会に向けてウイングバック(WB)からの得点パターンをコツコツと磨き続けていた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小杉舞)

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 ふっと表情が崩れた。1-0の後半15分、MF久保建英が中央でキープすると、堂安は右ワイドからペナルティーエリア内へ侵入しパスを受けた。左足だけでコントロールして得意な“堂安ゾーン”へ。狙いすましてニアサイドを射抜き、ネットを揺らした。確信を得たように表情だけを緩めて1年5か月ぶりの喜びを分かち合った。

「あの角度は目を瞑ってでも入るので。あそこは得意なコースですし。かなり速い振りでコンパクトに打てた」

 1年5か月ぶりのゴール。待望ーーそう言えるのだろうが、この期間こそが必要だった。4-2-3-1の右サイドでも、3-6-1の右シャドーでもない。右WBの得点パターンを研究し続けてきた。昨季まで所属したフライブルクや日本代表、現在所属するフランクフルトでWBを務め、見出したのが「何でもできるWB」。攻撃のアクセントとなりながらも世界基準の守備を見せ、フィニッシャーにもなる“1人三役”をこなすWBだ。

 ちょうど1年5か月前、堂安が最後に決めたゴールはアジア2次予選のシリア戦。この一戦は堂安が初めて3バックの右WBを務めた試合だった。前日会見で森保監督は「より日本がアジアで確実に勝つために、世界で勝つために、彼のようにうまい選手がハードワークして攻守ともにチームに貢献するということに期待したい。『こんなうまい選手がこんなハードワークするんだ』ということをサッカー少年少女に見てもらえたら」と、背番号10の役割を求めていた。

 初戦で決めたゴールから1年5か月。“アンサー”を出すためにWBの仕事を試行錯誤してきた。時には勝利に徹して、守備を全うし、時には攻撃をお膳立てする。すべてはW杯本番でゴールするため。使命を自らに落とし込んで“得点”までもを突き詰めるためだった。

「両方気持ち的にあって、プロセスのところやり続けてれば得点がくるのはわかっていましたし、もし得点がなくて本戦で俺が点を取るというのは自分の中で勝手にわかっているつもりだったので。そこまでネガティブになっていなかったですけど、練習している通りの角度からイメージ通りのシュートが打てるのは気持ちいいこと」

 W杯から逆算して、約7か月前にたどり着いた新WBの真骨頂。2017年のU-20W杯も、2022年のカタールW杯も日の丸を背負って世界と戦えばいつだって堂安は強かった。頼れる10番が次に思い描いている“現実”は北中米の地で主役になっている姿のはずだ。

(FOOTBALL ZONE編集部・小杉 舞 / Mai Kosugi)



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