学校初の“偉業”へ「刻みたい」 中学時に日本一を経験…名門10番が誓う6年分の恩返し

浜松開誠館の川合亜門【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
浜松開誠館の川合亜門【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

浜松開誠館高3年MF川合亜門「本当にここに来てよかった」

 第104回全国高校サッカー選手権の都道府県予選も佳境に入り、各地では代表校が決まり始めている。ここでは全国各地で繰り広げられている激戦の主役たちのエピソード、プレーなどをより細かくお届けしていきたい。

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 第8回は静岡県予選準々決勝・第2試合、今年のインターハイベスト16でプリンスリーグ東海3位の浜松開誠館と、プリンス東海9位の富士市立との一戦から。浜松開誠館のナンバー10でキャプテンを務めるMF川合亜門は、6年間の集大成をぶつけようとしている。

「僕が所属していた龍禅寺FCのOBにMF竹内涼(ファジアーノ岡山)さんがいたので、浜松開誠館のことは知っていました。そこから小学5年生の時に選手権初出場をしたのを観て、『僕もここに行きたい』と思って、やるなら中学から行こうと思って決めました」

 強い意志を持って浜松開誠館中学の門を叩いた。トップ下として持ち前の視野の広さと、ずば抜けた精度を持つ左足を駆使した展開力、シュートセンスを生かしてすぐに頭角を現すと、中学3年時には10番、キャプテンとして全国中学サッカー大会で日本一に導いた。

 それだけに留まらず、中3でプリンス東海に出場をして初ゴールをマーク。大きな期待を背負って高校に進学をするが、昨年はスタメンを外されることもあった。

「高校に進学してからボランチにコンバートされて、守備をより強く求められるようになりました。高校ではどんなに上手い選手であっても、守備で強度を持ってハードワークを出来ないと試合には出られない。正直、中学では守備にベクトルを向けることはなかったのですが、それでは高校では通用しない。昨年の途中までそれで苦しんだのですが、『いい選手は守備もできる』という価値観を養ってもらいました」

 守備のタスクをきちんとこなした上で、自分の持ち味である攻撃力を発揮する。最初は目を背けたくなることもあったが、「これをやることで自分はもっと強くなれると思った」と受け止め、中学時代の実績やプライドは一度捨ててガムシャラに自分と向き合った。

 夏を境に心身ともに急成長を遂げ、スタメンの座を奪い返すと、今年は高校でもキャプテンマークと10番を託された。同時にポジションもボランチから右サイドハーフにコンバートされ、チャンスメーカーとしての新たなタスクを託された。

「もともと運んだり、剥がしたりするドリブルよりも突破のドリブルの方が好きですし、カットインから左足のシュートという自分の特徴も出せるポジションだと思い、ポジティブに取り組みました」

 トップ下の時のプレーをイメージし、かつカットイン、縦突破という新たな武器を意欲的に磨いた。さらに守備意識が高まったことで、サイドハーフとして何をすべきか自分で考えて練習から意識的に取り組んだ。

「ボールが移動中に素早く寄せるところはチームとして徹底して練習からやってるので、サイドハーフとしてボールの移動中にどれだけスプリントを繰り返してタイミングよく寄せられるか。ここを自分でこだわりを持ってやっています」と、すぐにアジャストをしてチームの組織的な守備のスイッチを入れる存在となった。

 心身ともにリーダーとしてチームを牽引し、悲願のインターハイ初出場に導き、初戦で立命館守山を7-0で退けて全国初勝利も掴んだ。

「本当にここに来て良かった。6年間を通して攻守両面で本当に成長させてもらった。どのポジションでもポジティブに捉えて、自分のベストを尽くすということが当たり前になったし、人としても成長させてもらいました」

 チームの歴史を塗り替えていく中で迎えた最後の選手権。静岡県予選準々決勝を突破し、彼が中学3年生の時以来の3年ぶり3度目の選手権出場まであと2勝のところまで来た。

「開誠館としても夏冬連覇はやったことがないからこそ、僕らの代で歴史にまた新たな1ページを刻みたいし、6年間育ててくれたスタッフの皆さんに必ず恩返しをしたい。そのためにまずは磐田東との準決勝に向けてきっちり準備をしたいと思います」

 卒業後は関東の強豪大学に進学予定だ。大学経由でプロを目指す前に、全国ベスト8というチームとして掲げた目標を達成するべく。川合は力強くチームの先頭に立つ。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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