1年生で選手権出場も「コテンパンに」 痛感した別次元…決勝に「すべてをぶつけるつもりで」

愛工大名電の2年生DF中根陽向「絶対に今年もあのピッチに立ちたい」
第104回全国高校サッカー選手権の都道府県予選も佳境に入り、各地では代表校が決まり始めている。ここでは全国各地で繰り広げられている激戦の主役たちのエピソード、プレーなどをより細かくお届けしていきたい。
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第2回は愛知県予選準決勝から。第一試合は県1部リーグ2位で、昨年度の覇者&今年度のインターハイ愛知王者である愛工大名電と、県1部・4位の東邦との一戦。選手権への熱い気持ちを強く持っている2年生DF中根陽向が忘れられないインパクトとは。
昨年度の全国高校サッカー選手権大会。5年ぶり2度目の出場を果たした愛知県の愛工大名電高は、初戦で明誠(島根県)を6-3で下して全国初勝利を手にすると、2回戦で優勝した前橋育英と激戦を演じた。結果は2-2のPK戦の末に涙を飲んだが、0-2から追いつくなど執念と折れないメンタリティーを全国に見せつけた。
この大会において1年生で唯一全試合フルタイム出場した中根は、この経験を糧にさらにたくましくなって選手権の舞台に立つべく、奮闘を見せている。
東邦戦では右サイドバックとしてスタメン出場すると、相手のエースであるMF永井望夢を封じるというタスクを献身的なプレーと駆け引きを駆使して遂行し、1-0の勝利に貢献した。
「危ないシーンもありましたが、(右サイドハーフの1年生MF竹本)海里と共にポジションを入れ替えたり、マークを受け渡したりしながら対応しました。自分のサイドからやられないように、かつ攻撃面でもアクセントとなるようにタイミングを見ながらプレーをしました」
サイドバック、サイドハーフ、ボランチもこなせるインテリジェンスを持ち、攻守両面で1対1を得意とする。起用法も相手に合わせて変化をするなど、チームに欠かせないピースとなっている中根が描く成長曲線は、昨年の選手権で受けた「特大インパクト」が大きな影響を及ぼしていた。
「前橋育英戦でマッチアップしたMF白井誠也(現・前橋育英3年)選手にドリブルでコテンパンにやられてしまって、守備はもちろん攻撃も封じ込まれた感覚でした」
前回大会、途中出場から2、3枚を打ち抜いて一気にゴール前まで運んでいくドリブルを何度も披露し、選手権優勝の立役者となって一躍ヒーローとなった白井は、はっきり言ってこれまで経験したことがない『化け物』に映った。
「1回戦で相手のキーマンのドリブラーを止めることができて自信を持って挑んだのですが、それを粉々にされるくらい別次元というか、タイミングが掴めないまま終わってしまった。おそらく人生で1番股抜きをされた試合でした」
奪いに行けば股抜きや逆を突かれる。奪いに行かなければどんどん前に運ばれて、気がついた時はパスやクロスでチャンスを作られる。80分間最後まで粘り続けることはできたが、試合を通して打開策が見出せないまま終わった。
全国レベルをこれでもかと突きつけられたが、中根はここから白井の残像を頭から消さなかった。常にあのドリブルをイメージしながら1対1のトレーニングを徹底した。どのタイミングで奪いに行くのか、間合いを開けながらコースを限定させるのか。シチュエーションを考えながら駆け引きを磨き、攻撃面でもその駆け引きを生かして突破のバリエーションを増やすなど、技術レベルはもちろん思考力も大きく向上した。
「前橋育英との真剣勝負を経験できたからこそ、僕もチームとしても基準が一気に高くなって、日々の練習の質が大きく変わった。全国大会は本当に多くのことを教えてくれる場所なので、絶対に今年もあのピッチに立ちたいです」
2連覇まであと1つ。彼にとって選手権は価値観、サッカー観が大きく変わった大会だけに、もう一度『化け物』たちと対峙して、新たな発見と1年前の自分よりどれくらい成長をしているのか図りたいという思いが強い。
「まずは出場する権利を掴むために、全てをぶつけるつもりで東海学園との決勝に臨みたいと思います」
決戦の火蓋は11月8日に切って落とされる―。
(FOOTBALL ZONE編集部)




















