必然だったセットプレー3発「2日間割いた」 分析が光った準備…広島監督「こだわろうと」

広島のミヒャエル・スキッベ監督【写真:徳原隆元】
広島のミヒャエル・スキッベ監督【写真:徳原隆元】

広島が柏に3-1で勝利しルヴァン優勝

 サンフレッチェ広島は11月1日のルヴァンカップ決勝で柏レイソルに3-1で勝利した。ミヒャエル・スキッベ監督は、勝負を決めた必殺のセットプレーを「2日間を割くことができた」と明かす。そして、MF川辺駿は「特別な1試合でこそ出るエネルギー」を最大の勝因に挙げた。

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 立ち上がりから柏がポジションチェンジを繰り返しながらパスワークを見せる展開だったが、戦況をひっくり返したのがセットプレーだった。前半25分、右サイドでスローインを得ると中野就斗がロングスローをゴール前へ入れる。柏はGK小島亨介が前に出て処理しようと試みるが、広島はブロックするポジションに人を配置して自由を与えず、少し遅れて入ってきたDF荒木隼人が頭1つ抜ける高さを見せたヘディングシュートを決め先制ゴールをものにした。

 さらに前半38分、ゴール正面やや右サイドでフリーキックを得るとMF東俊希が左足で直接狙い芸術的なゴールで追加点を奪う。そして前半アディショナルタイム、再び右サイドから中野がロングスローを入れると、広島はGKの前に立たせていた2人が別方向に動き出し、そのうち1人のDF佐々木翔が頭でつないでFWジャーメイン良が蹴り込んだ。前半だけで試合を決定づけるリードをセットプレー3連発で奪い取った。

 特にロングスローの2点はゴール前の配置も含め作り上げられたもの。スキッベ監督は「落ち着いて1週間トレーニングできたのが良かったと思うし、2日間をセットプレーに割くことができた」と、渾身の形を準備してきたことを明かした。そして「世界のトレンドもそういう流れですし、我々の強さという点ではセットプレーもこだわろうとしている。今日のような身体能力や高さで上回っている相手に対して有効なプレーだと思っている」と、180センチ越えのフィールドプレーヤーがスタメンに7人並んだ強みも生かした。

 また、柏のポゼッションとパスワークに対し、最終的に局面の1対1で上回ったことや、ポジションを動かされても最後までついていく粘り強さも際立った。ダブルボランチを見ても、82分間で交代した川辺で11キロ弱、89分間のプレーだったMF田中聡は13キロを超える走行距離の試合になった。川辺は「相当、走らされました」と実感を話すが、決勝戦という大舞台で必要だったことをこう話している。

「特別な1試合でこそ出るエネルギーとモチベーションだったり、反応の速さだったり、負けたくないって気持ちが、こういう舞台ですごく重要になると思う。戦術とかうまいとか、そういう部分は決勝戦で多分、本当に必要ないものだと思う。戦う気持ちとハードワークがこのチームの生命線でもあると思うし、この大きな舞台で一番重要なものかなと。そういったもので負けなかったからこその結果だと思う」

 3点リードした後半、ポゼッションは柏に明け渡す時間が続いたものの、ゴール前に貼りついたわけではなく前に出ながら守る姿勢は失わなかった。スキッベ監督は「自陣に入れないことを心がけて相手陣内でサッカーをすることにこだわった。多少ズラされてもマンツーマンでついていくことにこだわった」と、チームの戦いを誇らしげに話す。広島にとって2022年大会以来3年ぶり2回目の栄冠は、自分たちの強みを貫く形で掴み取った。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



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