同ポジションの兄は「目標であり憧れ」 果たすべき”リベンジ”「課題を突きつけられた」

興國高の岩瀬颯【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
興國高の岩瀬颯【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

興國高の3年生GK岩瀬颯

 兄弟でサッカーをやっている家庭でフィールドプレーヤー同士やGKとフィールドプレーヤーの組み合わせは多いが、2人ともGKというのは珍しい部類に入るのではないだろうか。興國高の3年生GK岩瀬颯は4学年上の兄のGK姿に憧れてGKを始めた。

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 184センチのサイズを持ち、安定したクロスキャッチと細かいステップからの身体操作、ポジショニングに長けた岩瀬は、小学2年生の時に小学6年生だった兄・陽のプレーを見て心を揺さぶられたという。

「チームを救うようなセービングをして、めちゃくちゃかっこいいと思ったんです。本当に憧れて『僕もGKをやりたい』とすぐに始めました」

 兄はアスペガス生駒FCから興國高に進み、今は中央大学4年生で正GKとして活躍を見せている。185センチのサイズを持ち、中央大では2年生からセカンドGKの座を掴み、3年生からコンスタントに出場。今季はデンソーカップチャレンジ静岡大会で関東選抜Bに選出され、リーグ戦でも大きな存在感を放っている。

「普段は優しいお兄ちゃんなんですけど、練習になれば人が変わったようにプレーするんです。誰よりも努力する姿をちっちゃいころから見てきているし、大学サッカーで活躍しているのは刺激になります。僕も兄のように偉大なGK、人になりたいと思っています」

 兄の背中を追うように、大阪市ジュネッスFCから興國の門を叩いた。指導者の言うことにきちんと耳を傾けながら、自分の課題を抽出して日々の練習に取り組む。その真摯な姿勢でメキメキと力をつけていった岩瀬は、昨年から出番を掴んだ。

「去年、選手権予選の準決勝という大舞台を経験させていただいて、そこで自分の安定感のなさという課題を突きつけられました。クロスキャッチでこぼしてしまったり、キックの正確性やセービングの質だったりがまだまだ足りないと思ったので、この1年間こだわってやってきました」

 昨年度の選手権予選では準決勝で履正社の前に敗れ、2019年度以来の選手権出場は叶わなかった。最高学年を迎えた今年、不動の守護神となった岩瀬は準決勝で昨年度の選手権出場校である阪南大高の前に大きく立ち塞がった。

 1-0で迎えた59分、左サイドの展開からゴール前でFW増野オスカル太陽と1対1になるが、冷静に面を作って素早く前に出ると、シュートを体に当てて弾き出した。

「今年は『安定感』を自分の中で大きなテーマにしていて、ビッグセーブとかではなく、味方が安心できるようなプレーを心がけています。1対1のシーンもその前にクロスを警戒しながら、シュートが来てもいいようにポジションをとって、ゴール前で相手がシュートを打つタイミングでしっかりと構えて、前に出るチャンスがあったのでそこを逃さないようにしました」

 横に揺さぶられても身体のバランスを崩すことなく、冷静に足を運んで面を作り、「ここぞ」という場面で一気にアグレッシブに行ったビッグセーブだった。その後も安定したクロス処理を見せるなど、コーチングを含めて最終ラインに安定感をもたらし、1-0の勝利を手繰り寄せた。

「兄の存在は目標であり、憧れでもあります。もちろんこれからは超えていきたい存在なので、いつでも基準にしてやっていきたいと思います。そのためにはまず決勝でしっかりと力を発揮して、勝って全国大会に出場したいです」

 次なる相手は昨年準決勝で敗れた履正社。リベンジとともに、兄も果たせなかった選手権出場を手にするために。岩瀬は決勝の大舞台で守護神たる所以を示す。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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