ゴール奪ったチームへ移籍「オレとはレベル違う」 転機となったJ3での出会い「成長に不可欠だった」

2024年に大宮へ加入したオリオラ・サンデー【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】
2024年に大宮へ加入したオリオラ・サンデー【写真:YUTAKA/アフロスポーツ】

徳島でプロキャリアをスタートさせた大宮FWサンデー

 京都府福知山成美高校の国際コースを経て、徳島ヴォルティスに加入してプロサッカー選手となったFWオリオラ・サンデーだったが、高校の部活とJリーグのクラブでは大きなレベルの差があった。(取材・文=河合拓/全6回の第5回)

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 J2の徳島では、開幕戦のツエーゲン金沢戦でデビューを飾るなど、ルーキーイヤーから7試合に出場したがゴールを挙げることはできなかった。2023シーズンにはJ3のヴァンラーレ八戸へレンタル移籍すると、ここで石崎信弘監督にサッカー選手としてのいろはを叩き込まれた。

「本当に石崎さんの下でプレーした経験は大きかったし、光栄でした。自分のプレーをどう出せばいいか、どうすれば自信を持てるかを教えてくれたし、ここまで彼に教わったことが本当に役立った。彼はオレの成長に不可欠だったし、そのおかげで今、大宮にいることができている。八戸でやっていたことが、今につながっていることはすごく多くて、本当にサッカー選手としての成長を助けてもらえました」

 この2023シーズン、現在サンデーが所属するRB大宮アルディージャもJ3リーグを戦うこととなっていた。そして大宮との開幕戦でサンデーはJリーグ初ゴールを挙げる。

「開幕戦、アウェーで大宮と対戦して、オレも点を取りましたが、とにかく大宮はすごく強かった印象です。0-2で負けている時に1点取って、そこから『もっと行けるな』と思っていたのですが、泉柊椰……あの化け物に追加点を決められました(笑)。当時は大宮の選手じゃなかったから『こいつ、うざいな』と思っていました」と、自身のゴールから1分後に1-3と突き放されるゴールを決めた泉との思い出を振り返る。

 この活躍もあってから、7月には大宮が徳島から完全移籍でサンデーを獲得。シーズン後半戦の第29節の試合では大宮の選手として、古巣となる八戸と対戦。この試合でもサンデーは前半13分に先制点を決めて3-2の勝利に貢献した。「あの時はゴールを決められて、嬉しかった。両方のチームで点を決めることができた」と稀有な経験を振り返った。

日本で愛されていることを実感

「化け物」と感じた泉を含め、大宮のチームメイトには、「あらためて同じチームでプレーすると本当にレベルが高い。大宮には、うまい選手もたくさんいる。最初はオレとはレベルの違う選手たちだと思ったけど、みんな優しいし、ここで集中してやっていければ、絶対にうまくなると思えた」と語る。大宮では加入後の15試合で5得点を記録。J2昇格にもしっかりと貢献した。

 そして迎えた2025シーズン、2年ぶりのJ2では21試合に出場して5得点を記録している。開幕前に10得点という目標を立てたなか、残りの試合でのゴールラッシュを目指す。

「J3リーグとJ2リーグでは、レベルが違います。J2は守備も堅いですし、選手も一人一人がうまい。DFも技術があるから、簡単に奪って自分たちのボールにすることができません。J3の時はプレスを掛けたらそのままボールを奪えることがありましたが、そういうことはJ2ではほとんどない。でも徳島でのルーキーイヤーは、J2で大事な局面でもゴール近くにポジションをとることができていませんでした。それが昨年J3で7点取って、今年はJ2でも点を取れているので、ちょっとは成長できているなと思えます。でも自分はJ1とか、ヨーロッパでプレーすることを目指しているから、できることをもっと増やしていかないといけない」

 現在、所属している大宮を含め、どこにいても日本では愛されていることを実感できていると笑顔を見せる。

「僕のキャラクターも理由の1つだと思うけれど、どこに行っても本当に好きになってもらえているなと自分でも感じられています。オレは最高の選手じゃないかもしれないけれど、自分ができることは精一杯やるし、それに対してみんな愛情という形で返してくれています。何か嫌な思いをさせられたことはないですし、もう22歳だけど、みんなが息子のようにかわいがってくれて、愛情を示してくれています。愛情を感じられるから、僕も決して怒ることはありません。それは高校でも、八戸でも、徳島でも、ここ大宮でも変わりません。遅刻をしてしまった時も見捨てたりせず、しっかりダメなことはダメと言ってくれることもありがたかったです。そのおかげで日本でも生活がしやすいですし、本当に居心地がよくて、ここでプレーしていたいと思わせてくれるんです。自分が良ければ使ってもらえると思えるので、自分が成長することに集中できています」

(河合 拓 / Taku Kawai)



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