Jユース昇格断り→強豪校へ進学 憧れは偶然同じ名前の”ヒーロー”「一緒の舞台で戦いたい」

富山第一高のDF田中陽路に脚光
富山第一高のDF田中陽路。182センチのサイズを生かした対人の強さと左足から繰り出される精度の高いキックで、攻守両面で存在感を放つCBだ。
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「陽路」と書いて「ひいろ」と読む。「周りの人たちのヒーローになれという意味で名づけられました」と本人が語るように、ピンチの時にチームを救い、攻撃のスイッチを入れてチームを前に向けさせるヒーローとしての自覚を持って彼はプレーをしている。
「ひいろ」と言えば、浦和レッズでプレーするFW小森飛絢を思い浮かべる人は多いだろう。新潟医療福祉大学からジェフユナイテッド千葉に加入すると、プロ2年目で絶対的エースストライカーとなり、3年目の2023年はJ2得点王の看板を提げて、ベルギーのシント=トロイデンに移籍。そして今年の7月から浦和に移籍をすると、すでに4ゴールをマークしている。
小森もまたスーパーヒーローのようになってほしいという願いが込められて名付けられたという。まさに田中と同じ。しかも、小森は富山第一高出身だ。年齢差は7歳のため、小森に因んで名付けられたものではない。奇しくも同じ思いが込められた名前で、同じ高校で主軸としてサッカーをしているという偶然が重なったものであった。
「本当にたまたまで、僕が小学生の時にお兄ちゃんが対戦したことがあって、『名前が一緒だぞ』と教えてくれました。小森選手がプロに行ってから、お母さんも『小森飛絢くん、すごいね』と話していて、『凄い人なんだ』と気にかけるようになりました」
カターレ富山U-15でプレーしていた田中は、そのフィジカルと左足を買われてU-18への昇格も打診された。だが、「選手権に出て注目を浴びたいという気持ちが強かった」と、同じ富山の強豪校である富山第一への進学を選んだ。小森のことを強く意識するようになったのはここからだった。
「ちょうど高校に入ってからJリーグに興味を持ち始めて、見るようになったんです。ジェフでめちゃくちゃ活躍をして、海外に行って、レッズでも活躍している。ポジションは全然違いますが、プロの世界で活躍しているという面では本当に憧れです。偶然同じ名前の小森選手がいるからこそ、僕が選手権で活躍をすればもっと注目されるようになると思うので、頑張りたいと強く思うようになりました」
田中は1年から出番を掴むと、1年時の選手権ではベンチ入り。だが、出番は来ず、昨年は守備の要としてプレーをするも、チームはプリンスリーグ北信越1部から2部に降格、選手権予選でも敗れる苦しい1年を過ごした。
「昨年は本当に悔しかったし、選手権を逃して、2部に落としてしまった責任を強く感じました」
この経験が彼をより強くした。「今年は何がなんでも1部に上げて、後輩たちに1部のステージを残すことと、選手権に必ず出る。そのために僕はチームのためにハードワークをしたり、声を出したりしないといけないと思っています」と、心身ともに逞しくなった彼はDFリーダーとしてチームを牽引した。
インターハイに出場すると、プリンス北信越でもチームを優勝に導いて、1年での1部復帰を成し遂げた。
「富山第一に来て、本当に正解だったと思っています。だからこそ、僕は最後まで戦う気持ちを強く持ってプレーしたいと思っています」
同時に高校までで終わりにしようとしていたサッカーを大学でも続けるという覚悟も決めたことで、彼は残りの高校生活に強い想いを抱いている。
「続けると決めた以上は、大卒プロを目指して、小森選手と一緒の舞台で戦えるようになりたいと思っています。僕は『やると決めたらやる』ことを大事にしているので、周りに流されることなく取り組んでいきたいと思います」
プロの世界で「ヒーロー対決」をするために。田中は憧れの先輩の背中を追いかけながら、高校最後の冬に挑む。
(FOOTBALL ZONE編集部)



















