全国から遠ざかる名門の現在地 復活の鍵握る10番が挑む最後の冬「覚悟を持って」

東海大翔洋の望月浩翔【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
東海大翔洋の望月浩翔【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

東海大翔洋で10番を背負う望月浩翔

 静岡の名門・東海大翔洋。旧名・東海大一と聞けば分かる人もいるだろう。全国優勝1回、準優勝2回、そして数多くのJリーガーと澤登正朗、森島寛晃ら日本代表を輩出してきた名門は、今、2014年度のインターハイ出場からずっと夏も冬も全国から遠ざかっている。

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 だが、今年は大きな変化があった。静岡県リーグを突破し、プリンスリーグ東海初昇格を果たし、現在は13試合を終えて4位の好位置につけるなど、復活の機運は高まってきている。

 その快進撃を支えているのが現在、プリンス東海得点王のFW釜下諒と、トップ下に君臨するMF望月浩翔のホットラインだ。10番を背負う望月は、前期に釜下と息ぴったりのコンビネーションを見せてチームの攻撃を牽引したが、夏に腰椎分離症の影響で離脱。

 9月27日に行われたプリンス東海・第13節の藤枝東戦が復帰戦となった。終了間際に投入されると、トップ下でボールを集約して攻撃のリズムを構築。それまで押され気味だった流れに変化を加えた。だが、チームはアディショナルタイムにセットプレーから失点し、2-2のドロー決着。勝利をもたらすことができなかった。

「もっとボールを受けて仕掛けて攻撃の起点にならないといけないのに、それが思うように行かず、自分が入って追いつかれたので悔しいです」

 まだコンディションは万全ではない。だが、翔洋の攻撃はほぼ彼から始まる。スペースの察知力に長け、パスコースに顔を出す動きがうまく、ボールが来ても両足で巧みにコントロールをして時間を作り出す。シンプルに叩くこともあれば、前を向いてスルーパスを出したり、展開のパスを出して一気にゴール前までスプリントをしたり、多彩な動きで攻撃のリズムを作り出す。

 エース釜下との相性も抜群で、釜下に預けてから展開や抜け出しをしたり、釜下の動きを活用してできたスペースに入り込んで突破を仕掛けたりと、バリエーションあるアプローチを持って2人で崩すことができる破壊力を持つ。

「ここからリーグでもっと上を目指していきたいですし、選手権予選も始まるので、もっと僕が頑張らないといけない。離脱中はみんなに助けてもらったので、今度は僕がチームの勝利に貢献できるようにやっていきたいと思っています」

 望月は東海大翔洋中から6年間、黄色と黒の縦縞の伝統のユニフォームを着続けている。

「全国大会に出たいとずっと思っていて、翔洋中は全国にも出ているし、サッカーをやっていたおじいちゃんから『東海大一の時は全国で本当に強かった。最近もまた力をつけてきていると聞いているよ』と言われて、練習会に参加をして決めました」

 親や祖父の代で東海大一と言えば、前述した通り、知らない者はいないくらいの強豪校だ。真の名門復活は静岡代表として全国に出て、勝ち上がっていくこと。望月は10番という形でその思いを託されている。

「選手権は出たいです。高校サッカーをやりきるという意味でも、覚悟を持って臨みたいと思います」

 激戦区・静岡を一丸となって突破する。望月は釜下とのホットラインと、仲間との絆をベースに歴史の扉をこじ開ける準備を整えている。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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