24歳日本人は「なかなかいないタイプ」 レジェンドMFを彷彿…代表OBが絶賛「欠かせない」

マインツの佐野海舟【写真:アフロ】
マインツの佐野海舟【写真:アフロ】

【専門家の目|太田宏介】佐野海舟に脚光

 ドイツ1部マインツは9月27日に行われたブンデスリーガ第5節でドルトムントに0-2で敗れた。マインツの日本代表MF佐野海舟が試合終盤にスタジアムを沸かせたプレーを見せなか、元日本代表DF太田宏介氏も「すごい」と感嘆している。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部)

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 前半に2点リードされ、さらに後半には味方GKロビン・ツェントナーの退場と数的不利に。それでも後半43分、中盤で相手のボールをカットした佐野は身体を寄せてくるDFをルーレットで華麗に抜き去り、縦へとボールを運んでいく。そこから上げたクロスはブロックされたものの、中盤でのボール奪取からアタッキングサードまでボールを運び、単独でCKを獲得した。

 このプレーにはスタンドも湧いたが、太田氏は「すごいっすね海舟。少し前のゴールもそうだし、奪ってから予測の部分でインターセプトもより鋭さ増してますけど、そこから相手の前にグイって入っていくドリブルと推進力と技術も高い。ターンする時、右足からの右左で相手ググっとはがして、背中向きながらあそこまで持ってくっていうところは凄い」と解説し、感嘆のコメントを残している。

 さらに佐野のような選手は「なかなかいないタイプ」とし、「相手潰せるファイター系のボランチってたくさんいても、そこから前に持ち出して行く選手はいない。なんか若かりし頃の稲本さんのような守備もできるし、なおかつ相手ゴール前にも入ってってフィニッシュに絡めるみたいなオールラウンダーなボランチですよね」と、かつて日本代表でも活躍した稲本潤一氏の名を挙げつつ称賛している。

 森保ジャパンでは現在、遠藤航と守田英正が鉄板のボランチコンビを組んでおり、そこに佐野や田中碧、藤田ジョエルチマらが割って入るという構図になっている。

「今日本代表にそういうタイプがいないからこそ、そこでもまた違った色を出してほしいなって。彼も彼でマインツっていうクラブがはまってますし、もう欠かせない主力になってますから。特に一緒にやったので海舟をより応援してます。でもまだ1得点じゃ寂しいんでね、マインツ引き上げてほしいなと思いますけどね」と、FC町田ゼルビアで半年間共闘した元同僚へメッセージを送った。

佐野はJ2、J1と着実にステップアップ

 佐野は高校卒業後に当時J2の町田へ加入し、1年目から出場機会をつかみ経験を積んだ。4年プレーしたあとに鹿島アントラーズへ移籍し、1年半後にマインツへ加入した。

「やっぱりすごく思うのは、海舟も日本でトータル170試合以上出て、J2からJ1行って、鹿島でも存在感発揮して、一発でブンデスに行ってるわけじゃないですか。これってすごく大事だと思ってて。もちろん直接20歳前後でヨーロッパに行けるケースって増えましたけど、移籍金とかにしてもやっぱり安いじゃないですか。Jリーグで実績残してからヨーロッパ行くっていうのがなんだかんだ固いんじゃないかなって思うんでね。J2で活躍している選手とかは、チームが昇格してJ1行って、そこから活躍して海外行くケースが増えてきた方が成功する件数って多いのかなってなんとなく見てます。海舟みたいなキャリアの伸ばし方っていうのが、やっぱ理想なんですかね」と持論を展開した。

 佐野は昨季移籍1年目ながらリーグ戦全試合にスタメン出場し、4節から31試合連続でフル出場とタフさも発揮。チームの6位躍進に大きく貢献した。また今季も開幕から絶対的なボランチとして、5試合連続フル出場をしている。

「去年あれだけの活躍をしていたら絶対国内含めていろんな話はあったとは思います。今はもうマインツで抜けた存在になってきてると思うし、さらに市場価値っていうのもアップしてると思うんで、第三者的にはやっぱり次のステップとか気になっちゃいますね。この後、来年以降にどこまで行くのかっていう。ほんと楽しみですね」

 今季チームやW杯で昨季以上のパフォーマンスを見せれば、自ずとビッグクラブへの移籍も見えてくるはずだ。24歳”ダイナモ”の今後のさらなる活躍に注目が集まる。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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太田宏介

太田宏介(おおた・こうすけ)/1987年7月23日生まれ。東京都出身。FC町田―麻布大学附属渕野辺高―横浜FC―清水エスパルス―FC東京―フィテッセ(オランダ)―FC東京―名古屋―パース・グローリー(オーストラリア)―町田。Jリーグ通算348試合11得点、日本代表通算7試合0得点。左足から繰り出す高精度のキックで、攻撃的サイドバックとして活躍した。明るいキャラクターと豊富な経験を生かし、引退後は出身地のJクラブ町田のアンバサダーに就任。全国各地で無償のサッカー教室を開校するなど、現在は事業を通しサッカー界への“恩返し”を行っている。

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