“レフティー王国”に現れた新たな逸材 大卒プロ入り目標も…「そのために選手権に出ないと」

桐光学園の陶山響【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
桐光学園の陶山響【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

桐光学園で左ウィングバックを務める陶山響

 左サイドから絶え間ないアップダウンと精度抜群の正確なクロスでチャンスを作り出す。桐光学園の左ウィングバックの陶山響は、これまで何度も美しい放物線を描く左足のキックを見せてきた。

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 プリンスリーグ関東2部・第12節の三菱養和SCユース戦。0-0で迎えた62分に右サイド深くの位置で直接FKを得ると、「ファーのところを目がけて、そのまま入ってもいいし、誰か触ってもいいと思って蹴りました」と左足を一閃。鮮やかな弧を描いたボールは、そのままゴール左隅に突き刺さった。

 このゴールで勢いづいたチームは、そこから追加点を重ねて4-0の完勝。後期再開後は3連勝という好調をキープした。

「左足は武器だと思っていますが、大事なのはそれを生かすためのポジションだったり、仕掛けるタイミングだったり、攻撃参加のクオリティーだと思っています。もちろん、本来はサイドバックでもあるので、守備面でも貢献しないといけない。今やっている左ウィングバックは攻守も磨けるし、常にアップダウンを求められるのでフィジカル面でも成長を得られると思っています」

 本職は左サイドバックだが、今年は3バックをチームが採用したことで左ウィングバック。U-17日本高校選抜では左サイドハーフを高いレベルでこなし、ゴールとアシストで貢献するなど、左サイドであればどこでもできるユーティリティーさも武器。

 桐光学園の左利きと言えば、元日本代表の中村俊輔と藤本淳吾、現役では福森晃斗(横浜FC)、タビナス・ジェファーソン(タイ・チョンブリーFC、フィリピン代表)、西川潤(サガン鳥栖)、山市秀翔(早稲田大、川崎フロンターレ内定)、松田悠世(法政大)と錚々たるメンバーがいる。陶山は彼らに次ぐ次世代の高性能レフティーとしてまさに成長過程の真っ只中にある。

「桐光学園には本当に偉大なる左利きの選手がたくさんいるので、本当に刺激を受けますし、それぞれプレースタイルが違うので、僕も独自のプレースタイルを磨いていきたいと思っています」

参考にしている川崎DF

 川崎U-15出身とあって、参考にしているのはトップチームで、ポジションも特徴も被るレフティーサイドバックの三浦颯太だが、左利きを育てる土壌ができている環境で彼は必要なものを着実に身につけている。

「鈴木勝大監督からは常に『仕掛けられて、点にも絡めるサイドバックになれ』と言われているので、もっと自分の武器である攻撃力を磨いていきたいと思っています。個人的には今年のU-17高校選抜でアタッカーをやって、ゴールやアシストへの手応えを掴めたので、もう一度、今度はU-18の日本高校選抜に入りたい。そのためにはやっぱり選手権に出ないといけないと思っています」

 インターハイこそ3年連続で出場をし、2年前には準優勝を果たしているが、選手権は2021年度の出場を最後に、3年連続神奈川県予選準決勝で敗れている。

「1年生の時はベンチで桐蔭学園にPK負けを目の当たりにして、昨年はピッチで横浜創英に負けたので、今年は何がなんでも行きたい。もちろん初戦(3回戦)は難しいし、ここを突破しても準々決勝は(昨年度選手権ベスト4の)東海大相模か法政二、準決勝は横浜創英にリベンジをしないといけないし、決勝は日大藤沢とプリンス関東1部で上位にいる桐蔭学園と、1つも楽な戦いはない。リーグ戦も1つ1つが決勝戦だと思ってやっていますし、もう戦いは始まっていると思います」

 目標達成するには彼のチャンスメーク、クロスが必要不可欠。卒業後に関東の強豪大学への進学が決まっているレフティー王国・桐光学園の伝統を引き継ぐ男は、大卒プロを目指す前に、チームの勝利のために全てを捧げる覚悟を持って、残りわずかとなった高校生活に励んでいる。

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