川崎U-18への昇格見送りも…193センチの大型GKが才能開花、驚きの成長曲線「相手には脅威を」

桐光学園3年の斎藤准也「もっと圧倒的な存在感を放つGKになりたい」
5月に取材をした時よりも着実にフィジカルが安定し、セービングにもパワーや俊敏性がついてきた。
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いつも高校年代を取材すると、数か月で見違えるほど成長をする選手をたくさん見てきているが、桐光学園の3年生GK斎藤准也の変貌ぶりは正直驚きだった。
プリンスリーグ関東2部・第12節の三菱養和SCユース戦、一回りフィジカルが大きくなった斎藤は抜群の安定感を見せた。ハイボールに対してはライナーのボールもふわりとしたボールも積極的に前に出てキャッチングをしたり、正確にはじき出したりと、判断の質の高さを見せ、セービングや前に出るときのスピード感も5月の時と比べて増していた。
圧巻だったのは1-0で迎えた後半20分、三菱養和が右サイドの絶好の位置でFKを得ると、MF佐伯凌世が左足でニアサイドに放った強烈なキックを、素早く反応をしてゴールラインギリギリのところでバックステップを踏みながら両手でセーブ。遠くに弾いたボールを味方が拾うと、そのままカウンターアタックを発動し、その流れからMF萩原慶が貴重な追加点を挙げた。
このシーン、準備や駆け引きの段階で斎藤が相手を上回っていた。
「あのFKの直前に陶山(響)が同じような位置のFKから左足で直接叩き込んでくれたので、同じようなシーンで相手も左利きだし、お返しというか、直接狙ってくる可能性はあると思っていました。でも、ファーに落としてきたり、自分から逃げるボールを蹴られたりする可能性もあったので、両方に対応できるポジションを取りながら、ちょっとニアに直接けるように誘導もしてみました。すると、その通りのボールがきたので反応しましたし、シュートの威力が強烈でコースもギリギリだったので、キャッチやトスティングではなく、遠くに弾いてはっきりプレーしようと思って対応しました」
この言葉には自信が溢れていた。斎藤はもともと193センチの圧倒的なサイズとセンスを誇るGKだったが、中学で急速に身長が伸び、さらに高校に入ってからも伸び続けているということもあり、フィジカルが思うように鍛えられず、かつバランスの面で苦労することが多かった。
だが、今年に入ると徐々に頭の中のイメージと身体操作がマッチするようになっていった。同時に今年から就任をした北川孝仁GKコーチの徹底した指導も、斎藤の技術向上に大きな影響を及ぼした。
「徐々にクロスやセービングで思ったところに飛んだり、手を出せたりできるようになっていく中で、北川コーチが映像を使って自分の苦手なプレー、得意なプレーの両方をフィードバックしてくれて、自分を知る機会をもらっています。その上で常に準備の部分を指摘してくれて、セービング、ハイボール、ポジショニングからタイミングなど、準備を状況に応じて当たり前のようにすることを意識するようになってから、自分でトライできるボールの範囲、種類が広がった気がします」
これまで中京大中京高、浜松開誠館高、ファジアーノ岡山、アルビレックス新潟で高校年代のGKコーチ、高知ユナイテッドSCではトップチームのGKコーチを歴任してきた北川コーチと基礎の部分を徹底的に磨いたことで、明らかにセービングの質、守備範囲が広がった。
同時にこの成長はメンタル面にもポジティブな影響を与えた。「なかなか自分に自信が持てなくて、ミスや失点をすると下を向いてしまって、ネガティブな空気を出してしまうことが多かった」と口にしていたように、素材は評価されながらも、メンタルの部分を指摘されて川崎フロンターレU-15からU-18の昇格は見送られた。
「情熱を持って指導してくださる鈴木勝大監督の元でならメンタル的に強くなれると思って決めた」と、桐光学園に入ってからはコツコツと技術とフィジカルを積み重ねて行った。そして今年、土台をもう一度強化したことで、安定感という自信を積み上げることができた。
「もっと圧倒的な存在感を放つGKになりたいんです。味方からは『准也がいるから安心だよね』とか、相手からは『あそこに蹴ると取られちゃうからやめよう』と言われるような、味方には勇気を、相手には脅威を与えられるような選手になりたいんです。僕はチャレンジなしでの成長はないと思っているので、どんな試合だろうと関係なく、自分のやれる最大限をぶつけてプレーしていきたいと思います」
いいチームにはいいGKあり。すでに関東の強豪大学に進学が決まっている大型GKは、まだ伸びているという身長と共に、よりスケールの大きなGKとなるべく自己研鑽を続けていく。




















