鹿島トップ内定の18歳「自分と似ている」 トップ参加で直球質問…憧れは同じレフティーの“代表DF”

鹿島アントラーズユースDF大川佑梧
2026年からのトップ昇格が決まった鹿島アントラーズユースの3年生でセンターバック(CB)を務めるDF大川佑梧。185cmのサイズと左利きのCBという、ユース出身で日本代表のCB町田浩樹(ホッフェンハイム)を彷彿とさせる大川の武器は、洞察力と質問力にある。
【PR】DAZNを半額で視聴可能な学生向け「ABEMA de DAZN 学割プラン」が新登場!
プレーの特徴に触れると、精度の高い左足のキックと抜群の統率力に目が行く。185センチ、73キロのフィジカルを駆使した守備と、常に周りを見てラインコントロールをしたり、カバーリングや、ボランチやアタッカー陣に的確な指示を送ったりする。ボールを持つと大きなサイドチェンジやフィード、ボランチや2トップにつける縦パスを供給して、攻撃の起点にもなる。
「前半戦の終わりぐらいから後期にかけて、相手が自分の左足を警戒してコースを切ってくることもあるので、対角のコースは見えているけど蹴られない状況が出てきました。いま僕に求められているのは間を刺すパスを通して、ボランチなど周りをうまく活用して、自分たちの時間をうまく増やすことを意識しています」
プレミアリーグEAST前期を首位ターンし、日本クラブユース選手権でも優勝をしてカップを掲げた大川は、この夏ずっとトップチームの練習に帯同をしていた。そこでも縦パスの重要性は身に染みていた。
「今のトップチームに求められているのは、ボールを動かすことだったり、動かして相手を揺さぶった中でしっかり1本の縦パスを通すところだったりする。そこで僕がオープンに持って長い距離を飛ばすというよりは、きちんと蹴れる位置にボールを置いて、正確に縦パスを通すことを意識するようになりました」
Jリーグ屈指の実力を持つトップの練習に参加する中で、彼は持ち前の洞察力と質問力を発揮した。
「三竿健斗さんにボールの奪い方、出足や見ている場所などを聞いて教わりましたし、田川亨介さんにはスピードのあるFWへの対応の仕方を聞いて教わりました。僕は昔から周りに質問をして聞いていくタイプだと思っていて、自分の似ているタイプの選手だけではなく、自分が足りない部分だったり、持ち合わせていないものだったり持っている選手から、その選手が得意とする部分を聞きます。中学生の時はユースの選手に積極的に質問をしていました」
質問をできるということは、しっかりと周りの選手たちを洞察し、今の自分と照らし合わせて、不足しているところ、もっと長所として伸ばしたいところをあぶり出し、具体的にどうしたいか思考できていることを表す。そうなると質問内容が具体的で、かつ返答を理解しようとする意識が働くため、問題解決への道筋や具体策が見出せる。
それだけではない、質問をされる側もその意思や姿勢が伝わり、より一歩も二歩も踏み込んだ答えをしてくれるし、そのあとも継続してアドバイスがもらえる。より自分が成長する環境を自分で作り出すことができる。
「今の自分の足りないところや、自分が持っていない武器を持っている選手は見ていればわかるので、聞きたいことが自然と出てくるんです。それが直近で言うと健斗さんや田川さんでした。例えば田川さんには『スピードのある選手に対しては、先に敢えて少し下がっておくとその選手は走りにくくなる』ということを言われたので、今は強く意識しています。もちろんすぐに出来るわけではないと思っていますし、経験を積んだり、いろいろ試して自分にとって一番良いものを取り入れたりする地道な作業が絶対に必要だと思うので、今からきちんと意識を持ってやっていきたいです」
そんな大川に「一番お手本にしている選手は?」と聞くと、「ユースの先輩で、アントラーズから世界に羽ばたいて行った選手ですし、自分と特徴が似ているので、目指すべき選手です」と、町田の名前が挙がった。
歳が離れており、町田も海外生活が長いため、まだ一緒にプレーしたことはない。だが、すでに聞きたいことはたくさんあるという。
「左利きならではのボールの持ち方や、世界で戦うためのボールの奪い方など聞いてみたいです。町田選手の凄いところは左足で縦パスをスパンと通せること。狭い局面の中であそこまで正確に通せる選手ってなかなかいないと思うので、本当に凄いなと思います。あのプレーをするためには、ボールを置く位置やキックの質はもちろんそうですが、その前の駆け引きの部分も大事になってくると思っています。そういうところを聞きたいです」
目を輝かせながら、スラスラと出てくる質問。この質問をただ町田にぶつけたいだけではなく、今は自分なりの解釈を持ってプレーを磨いている。
「自分の中ではファーストタッチが全てだと思っています。オープンに置きすぎても、逆に内側に置きすぎても、蹴る範囲が限られてしまう。自分にとって一番蹴りやすい場所を探す、見つけることを日頃の練習から意識をして、感覚として掴んでいきたいと思っています」
希少価値の高い左利きの大型CBは、高いレベルでコミュニケーションができるスキルという大きな武器を携えて、さらなる上のレベルにチャレンジをしていく。いつか憧れの先輩に直接質問をぶつけ、自分のものにして超えていけるように。




















