世代屈指の10番が身につけた“加速力”「ワクワクさせたい」 理想は天才ドリブラー「目指すべき姿」

鹿島ユースで背番号10を背負う平島大悟【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
鹿島ユースで背番号10を背負う平島大悟【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

鹿島アントラーズユース2年MF平島大悟

 鹿島アントラーズユースのナンバー10を背負うのは、2年生MF平島大悟。今年の日本クラブユース選手権で優勝と大会MVPを手にした世代屈指のアタッカーは今、同じチームの同年代のライバルたちに刺激を受けながら、その進化のスピードを早めようとしている。

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 9月15日のプレミアリーグEAST第13節にアウェーで行われた前橋育英との一戦。首位キープには絶対に落とせないこの一戦で、左サイドハーフに入った10番は1ゴール1アシストの活躍を見せた。

 0-1で迎えた前半44分、左からのクロスをニアサイドで同じ2年生のFW吉田湊海が受けた瞬間、ファーサイドに空いたスペースにタイミングをずらして飛び込む。「平島が背後のスペースに入ってくる気配を感じたので、自分が打つより決まると思った」と吉田のターンからのパスを冷静にゴールに蹴り込んだ。

 そして、逆転して迎えた後半アディショナルタイム2分、ペナルティーエリア中央で相手のクリアボールを予測し前向きに拾うと、正確なファーストタッチで足元に収めてから、素早く上半身をひねりながら細かいステップで寄せに来たDFをピン留めさせた。

「相手にシュートをチラつかせながら、(左前のゴール前のスペースに)湊海が走っているのも見えたので、どちらも行けるようにして相手の出方を見ました。相手はシュートを警戒してきたので、ノールックで湊海に出しました」

 対峙したDFと吉田についていたDFの2人の意図を操り、かつ吉田の意図に完璧に合わせるパスがダメ押しの3点目を生み出した。

 ゴールシーン以外にも平島の存在感は絶大だった。90分間を通じて、強度とキレが全く落ちないプレーはインパクト絶大だった。前線からのプレスは吉田と髙木瑛人の2トップのファーストディフェンスをしっかりと把握してから、スペースを埋めたり、プレスに加わるスプリントを何度も披露。マイボールになった瞬間にサイドに張るのか、内側に絞って左サイドバックの岩土そらの上がりを引き出すのか、3人目の動きで抜け出してラインブレイクに関わるのか、どの判断も質が高かった。

 そして何より、小刻みなステップワークとボディーシェイプを活用したドリブルのキレは圧巻で、相手に対して駆け引きで翻弄してから一気にグリップを強めて加速していく姿は、まさに疾風怒涛のようだった。

「足の踏み込み、グリップは常に意識しています。里内(猛)フィジカルコーチに手伝ってもらいながら、自主トレでしっかり加減速することや、鋭い切り返しを武器にするために毎日練習をしています」

 ストップ&ダッシュの際のステップワークとリズム、そして首から上を固定しながらのボディーシェイプ、初速時や切り返しのタイミングでの足の出し方や踏み込み方、着地に至るまで、理論と自分の身体的特性を重ね合わせながら徹底して磨いた。だからこそ、彼はキレと爆発力という武器を手にすることができた。

「僕はスピードでゴリゴリ行くタイプではなく、長距離が得意で、持続力、運動量で勝負する選手でした。でも、ユースに上がって最初はフィジカルでどうにかしていましたが、それだけでは上では通用しないと思うので、頭脳のところで予測だったり、フィジカルのところで切り返しだったりを意識的に取り組んだらどんどん身についてきました」

絶対に負けたくない同期の存在

 自分と向き合って正しい努力をする平島にとって、吉田とDF元砂晏翔仁(もとすな・あんとに)ウデンバという2人の同期の存在はとてつもなく大きなエネルギーとなっていた。

「彼らは1年生の頃からトップの練習に行っていたので、本当に悔しくて『絶対に負けない』という気持ちで毎日練習していました。今年もたまにユースの練習に来るときには、そこで絶対に負けないというか、とてもいい刺激をもらいながらやっています」

 この前橋育英戦も2日前に2人がトップからユースの練習に戻ってきたばかりで、平島自身も吉田と共にU-17日本代表として9月8日までフランス遠征に参加をしていた。

「湊海はシュートがうまいし、ゴールに貪欲だし、相手がどこでも『俺に出せ!』と強く主張できる。だからこそ、僕も湊海のようにもっと貪欲になって決めきることは意識していますし、『俺が』の部分を出すことは大事にしています」

 自覚十分の10番。彼にとって鹿島の10番といえば、何度も映像を見てきた鹿島のリーグ3連覇の黄金期の中心にいた本山雅志(トップチームコーチ)であり、大きな理想像でもあるという。

「本山さんは天才なので、プレースタイル的には自分とちょっと違うかなと思うのですが、本山さんのように自分がボールを持ったときに周りをワクワクさせるような選手になりたいんです。ワクワクさせるだけでなく、チームにタイトルをもたらす活躍を鹿島の10番は絶対にしないといけないと思っているので、目指すべき姿だと思っています」

 周りを惹きつけ、結果も引き寄せるプレーを。ライバルに刺激を受ける17歳は、不断の努力を重ねて理想像を追い求める。

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