優勝争いに貢献も…明かした「新しい壁」 28歳で感じた伸び代「また一つ上のレベルに上がれる」

躍進チームを最前線で支える垣田裕暉
今季J1リーグで魅力的なパスサッカーを見せている柏レイソル。その主力として活躍するFW垣田裕暉がなりたい選手像と、そこに近づくために乗り越えなければいけない”壁”について話してくれた。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・上原拓真/全2回中の第1回)
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今季これまでリーグ戦28試合に出場し、5ゴール5アシストの活躍を見せる垣田。この数字について「個人として全然物足りない数字」と苦笑いしながらも、「自分の良さを大いに出してやれている」と、前線からの守備や、攻撃でのリンク役には手応えを感じている。チームも好調で首位争いを繰り広げ、そこに貢献できている感覚を持ちながら、垣田自身は「最近、新しい壁にぶつかっている」と明かした。
直近のルヴァンカップ準々決勝、横浜F・マリノスとの第1戦では、後半アディショナルタイムにダメ押しとなるループ弾を決め、得点王も視野に入る大会4ゴール目に。第2戦でもスタメン出場を果たすと、89分間走り切った。
垣田自身、このルヴァン杯以前までのリーグ戦では不完全燃焼が続いていた。8月10日に行われたリーグ第25節の湘南ベルマーレ戦では2-0で勝利するも、79分間のプレーでシュート数はわずか「1」にとどまった。そこからファジアーノ岡山戦(1-2)、浦和レッズ戦(4-2)では、前半45分のみで途中交代になった。
最前線で守備のスイッチを入れる役割や、身体を張ったポストプレーが機能してスタメンに定着。プレーの土台が固まり、出場時間が増えてきたからこそ、新たな壁にぶつかったという。その壁を打破するために必要なものがゴール前での「アイデア」だという。
「今、自分に一番足りないのはアイデア。相手が『おっ?』ってなるアイデアがないとやっぱり守備は崩れないと思うんですよ。でも自分のプレーを映像で見てみると『やっぱりそれをするだろうな』ってプレーをしちゃう。そこがやっぱり自分の足りない部分だと思っています」
横浜FM戦で決めたループ弾は直面する壁への答えとなるか
満足いかない現状を嘆くのではなく、「今新しいことに挑戦できてるなと思っています。そこがまた、少しずつできるようになってきたら、また世界は変わってくるのかなと思いながら今は取り組んでいます」。求めている「アイデア」が武器になった先の姿ももちろん想像できている。
「そういった(アイデアの)部分や、それを成功させられる精度、技術を高めていく部分が必要だとは思っています。守備もできて、ゴール前での精度も高い選手なんて、なかなかいないじゃないですか。外国人選手もゴール前で精度が高いけど、守備はできなかったりだとかそういう問題は抱えていますし」
その「アイデア」を武器にするための大きな一歩になったのが、まさに横浜FM戦で決めたループ弾だった。チームメートのDF古賀太陽も「見たことがない」と驚いた一撃で、ファン・サポーターもこのゴールに酔いしれた。自分の理想像に近づくために、この壁を少しずつ乗り越えていく。
「そこができればやっぱ自分のなかで、もっともっとすごい選手になれるなと思っていて。まさに今がこれからの自分のサッカー人生に向けて重要な時期。新たな壁にぶつかったというか、ぶつかれたることができたっていう考え方だと思います。
ゴール・アシストという目に見える数字はもちろんそうですけど、『ゴールに絡む』っていうのが必要かなと思っています。もちろんアシストがつかなかったとしても、『あのポストプレーがあったからだよね』ってなるじゃないですか。そういった部分も今は新しくやっていかなきゃいけないところだと思っています」
最前線から守備のスイッチを入れ、攻撃ではゴールを目指す過程で潤滑油になり、ゴール前で仕事をする。一人の選手に複数のタスクが求められる現代サッカーにおいて、「なんでもできる」万能型トライカーを目指す。
「今周りから見て難しいと思われるけど、自分としてはそこを目指したい。今、走る部分だったらもう誰にも負けないっていう自信がありますし。だからそこにプラスアルファで『なにができるか』っていうことだと思うので。
自分はこういうプレースタイルだよっていうのは出せているとは思いますが、それだけじゃチームは勝てないですし、自分はフォワードの選手。ゴールに絡めないと、サポーターも認めてくれない」
壁を乗り越えて成長することに貪欲な姿勢を見せた垣田。「自分はまだ成長できる」と30歳を過ぎた自分自身の姿までも見えているという。
「全然、俺自分はまだ成長できるなと思っていますし、自分のようなタイプの選手って30歳を超えたくらいでプレーに味が出るタイプだと思うんです。経験を重ねることでゴール前での余裕ができて、点を取れたり、アシストができたり、良いプレーができるようになると思うので。今はただ必死にやっていますがその必死さを維持しつつ、そこにプラス余裕が出たら、まだまだ選手としてまた一つ上のレベルに上がれるんじゃないかなと。今ちょうどその壁に当たっているところって感じですね。」
そんな頼もしい言葉を残し、インタビューの最後で、壁にぶつかっているなかでも「今、柏のサッカーをやっていて楽しいですか?」と聞いた。
「それがまさに話したことだと思うんですよ。今が楽しくないわけじゃないですが、この壁を乗り越えたら、今よりもっとサッカーを楽しめるなと思っていて。とにかく今は必死に、チームが勝つために走って、戦って、チームの勝利に貢献するんだって。レイソルがこのサッカーをやる上でプラスアルファの存在になれるように必死にやってますけど。それができてきたら、自分自身が今よりももっとサッカーを楽しめると思います。楽しみたいですね、サッカーを」
残るはリーグ戦10試合で、チームとして2011年以来のリーグ優勝が視野に入っている。壁にぶつかりながらも、必死に喰らいつく垣田の姿を目に焼き付けたい。




















