結果より森保監督が求めたもの「自分です」 中1.5日の代償も…“強行日程”を組んだ理由

2試合を通じて無得点に終わった
日本代表(FIFAランク17位)は現地時間9月9日、米オハイオ州コロンバスのLower.comフィールドでアメリカ代表(同15位)と国際親善試合を行い、0-2で敗れた。0−0で引き分けた同6日のメキシコ(同13位)戦と合わせ、ワールドカップ(W杯)ホスト国との2連戦を1分1敗で終えた森保ジャパン。結果よりも大事なものを手にした米国遠征を振り返る。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎)
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0-2の完敗を喫したアメリカ戦後、会見場に現れた森保一監督の目は、悔しさと申し訳なさで真っ赤になっていた。「今回は総替えした中で、選手も変え、システムも変えた。選手たちに難しい戦いをさせてしまったかなという所は、敗戦の責任は私にあるかなと思っています。ただビハインドを負っても、選手たちが新しいことにチャレンジするという部分、粘り強く最後まで戦うところ、日本人のメンタリティーをしっかりプレーで証明してくれたかなと思います」と悔しさを滲ませた。
確かにアメリカ戦は完敗と言わざるを得ない。だがこの試合の結果も大事だが、森保監督の狙いは他にもあった。
今回の遠征の概要が発表された時、不思議だった。6日にカリフォルニア州オークランドでメキシコ戦を行い、翌日に西から東へ約5時間のフライトで約3390キロを移動。そして中2日でオークランドと時差が3時間あるオハイオ州コロンバスでアメリカ戦。移動も含めると、実質“中1.5日”とも言える強行日程について、指揮官は選んだのは「自分です」と明かした。
そこまでして、この日程を組んだのは西から東への移動を選手たちに体感して欲しかったからだ。3時間の時差と言っても、東から西へ移動する場合は体感としてはプラス3時間となるが、西から東へ移動する場合は、マイナス3時間となる。大したことのない差に思えるが、久保建英が「今回の3時間というのは、1日の感覚的には短くなりますし、ちょっと厳しかったなと思います」と明かしたように、1日のルーティンが決まっている選手たちにとっては少なくない影響がある。
W杯本大会では、今回のように西から時差が3時間ある東に移動し、中2日で試合をすることはない。だが実際に、西から時差が2時間ある東へ移動し、中3日で試合をするシチュエーションが、ベスト16で1試合、ベスト8で1試合組まれている。三笘薫が「本番ではここまでのタイトな日程ではないですけど、それでも全員が(試合に)行けるような準備ができれば、いい準備期間になると思う。この経験を経て、しっかりいい分析をして、必ず生かしていきたい」と話したように、W杯優勝を目指すからこそ必要な“プロセス”だった。
それと引き換えに、選手のコンディションを考慮し、2試合目を“総替え”しなければならなかったのも事実。チーム強化という点では大きな影響があったのは否めない。第1戦のメキシコ戦では完全に主導権を握った中で得点を奪えず、後半に交代で入った選手がギアを上げられないという課題も残した。
「アジアから世界の戦いに変えていく」というミッションは持ち越しとなったが、10月にはパラグアイ、そしてブラジルという力量を測るには最高の相手との対戦が待っている。
W杯本大会へ、大きな財産を手にした米国遠征だった。
(FOOTBALL ZONE編集部・井上信太郎 / Shintaro Inoue)




















