カズ不在で5連敗「早く戻ってきて」 夢のJリーグは遠く…怪我人続出で監督も「厳しい状況」

三浦知良が所属する鈴鹿が5連敗
カズことFW三浦知良が所属するJFLアトレチコ鈴鹿が、連敗の沼にはまっている。鈴鹿は9月7日、ホームでFCマルヤス岡崎と対戦。前半終了間際に先制を許すと後半にも失点し、1点を返したものの1-2で敗れた。これでリーグ中断前から5連敗。16チーム中13位の低迷で目標のJリーグ昇格も遠のく。
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終了のホイッスルとともに、鈴鹿イレブンはがっくりと肩を落とした。前節のHonda戦に続く1点差負け。ミスから先行を許し、追いかけるものの届かない。これで8月のリーグ中断明けから2連敗。中断前の3連敗と合わせて5試合連続勝ち点を奪えず、山本富士雄監督は「どうしてもネガティブになる。きっかけさえあれば」と言葉を絞り出した。
中断期間の1カ月、巻き返しを目指してチームを立て直してきた。「状態は決して悪いわけではないが、自信を失っているからか結果が出ない」と山本監督。この日も前半終了間際、ゴール前の混戦で集中力が切れて先制を許した。
ケガ人続出でメンバーが揃わないのも痛手だ。スピードが武器のMF三好辰典らの離脱で、チャンスを作っても決めきれない展開が続く。この日もMF前田柊が試合中に負傷してしまった。
「厳しい状況が続いて、どうしても選手たちはネガティブになっている」と山本監督は話した。
チームの「起爆剤」として期待したカズも離脱中。中断前の7月末までは万全でないながらベンチ入りを続けていたが、中断期間中のトレーニングで再び故障して現在も別メニュー調整を続けている。この日はベンチの後方から声を出し、チームを鼓舞していたが、その思いは届かなかった。
「少しずつチーム練習に合流しているし、それほど長くはかからないと思う」と山本監督はカズの状態を説明したが、復帰の時期は不透明。苦しい時にこそベテランの強い精神力が必要になるだけに、鈴鹿の斉藤浩史オーナーも「嫌な流れを断ち切るためにも、早く戻ってきてほしい」と話した。
年間30試合を戦うJFLもちょうど3分の2が終了。滋賀県初のJリーグ参戦を目指すレイラック滋賀が勝ち点40で首位に立ち、アマチュアのHonda FCが同37で2位につける。わずか5勝(5分け10敗)の鈴鹿は勝ち点20と大きく離されている。
「三重県初のJクラブへ」と今季をスタートさせ、すでにJ3ライセンスの取得も申請。鈴鹿駅前には「鈴鹿市と共にJリーグへ」というバナーが掲げられているが、夢のJリーグは遠のくばかり。気が付けば下には3チームだけ。地域リーグ降格さえ危ぶまれる状況になってきた。
山本監督は「(昇格の)可能性がなくなったわけではない」と自らを鼓舞するように話し「トンネルは長いけれど、長ければ長いだけ抜けた時の景色は大きく変わる」とも言った。もっとも、そのトンネルの出口さえ見えないのが現状。「とにかく、今は勝ち点3をとるしかない」と、13日の次戦、クリアソン新宿戦へ悲壮な決意で言った。
(荻島弘一/ Hirokazu Ogishima)
荻島弘一
おぎしま・ひろかず/1960年生まれ。大学卒業後、日刊スポーツ新聞社に入社。スポーツ部記者として五輪競技を担当。サッカーは日本リーグ時代からJリーグ発足、日本代表などを取材する。同部デスク、出版社編集長を経て、06年から編集委員として現場に復帰。20年に同新聞社を退社。




















