1-8の衝撃敗戦…プロ注目2年生が大粒の涙「何もできなかった」 重み感じた偉大な背番号

桐生第一のゼイダム小田孟武【写真:FOOTBALL ZONE編集部】
桐生第一のゼイダム小田孟武【写真:FOOTBALL ZONE編集部】

桐生第一のゼイダム小田孟武「中村監督の言葉がこの大敗で痛いほど分かった」

 ユース年代における夏の全国大会は高体連のインターハイ、Jクラブや街クラブは日本クラブユース選手権。覇権を手にしたチーム、志半ばで敗れたチーム、全国にたどり着けなかったチーム。それぞれの思いを抱えながら、全国各地のフェスティバルや合宿で夏以降の捲土重来を誓う選手たちの思いを描く“真夏の挑戦者”シリーズ。

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 第17回はインターハイ群馬県予選決勝で最大のライバルでもある前橋育英に0-2で破れ、インターハイ出場を逃した桐生第一の2年生CBゼイダム小田孟武について。ブラジル人の父と日本人の母を持つ182センチの注目2年生CBは、高校トップレベルに粉砕されて目の色を変えた。

 8月下旬の流通経済大柏グラウンド。スコアボードには1-8という衝撃的なスコアが描かれていた。

「ワンタッチプレー、1枚剥がすプレー、セカンドボール回収など、何もかもが完全に相手が上でした。ほぼ何もできなかった」

 悔しさを噛みしめながらゼイダムはこう口にした。9月6日に再開するプリンスリーグ関東1部を前に、最後の強化試合として桐生第一は、プレミアリーグEAST2位でインターハイベスト4の流通経済大柏に挑んだ。

 だが、ゼイダムの言葉通り、ベストメンバーの流通経済大柏を相手に立ち上がりから押し込まれ、大量8失点を喫した。

「運動量、フィジカルなど足りないことが多いし、何より精神的にもまだまだ甘いと思いました。中村裕幸監督からは『最後はお前が全部守るつもりでやれ』と言われていて、2年生なのに5番まで託してもらったのに、きょうも少し他責にしてしまうこともあった。もっと自分にベクトルを向けて、学年関係なく自覚を持ってやらないといけないと思いました」

 桐生第一の背番号5は中野就斗(サンフレッチェ広島)、中野力瑠(ザスパ群馬)の中野兄弟、昨年は原田琉煌(産業能率大)ら守備の要が背負う信頼の証の番号。さらに中野兄弟はゼイダムが中学時代に所属したAZ’86東京青海ジュニアユースの先輩でもあり、中高の偉大な先輩の背番号を引き継いだ重みを誰よりも理解している。それだけにリーグ再開前の大量失点にショックと責任感から、試合後は大粒の涙を流した。

「再開まで1週間を切っていますが、ここから本当に変わっていかないといけない。フィジカルの強化、球際やパスの質など、こだわりを強く持って、自分発信でやっていかないといけない。5番を背負う責任を持って、もっともっとやっていきたいと思います」

 桐生第一は現在、強豪ひしめくプリンス関東1部で4位の好位置につけている。首位のRB大宮アルディージャU18との勝ち点差は4と、優勝と2度目のプレミア昇格も狙える位置にいるだけに、この大敗で落ち込んでいる暇はない。

「プレミアに戻りたいですし、選手権もかなりの期間(2013年度以来出場なし)出場できていないからこそ、絶対に出たい。『群馬県と言ったら前橋育英』となってしまっているので、僕らがそれを崩したい。これまで自分が思っていた甘さ、中村監督の言葉がこの大敗で痛いほど分かったからこそ、ここからもっと成長します」

 空中戦の強さ、対人の強さ、フィードのうまさなど、2年生ながらプロも注目するCBの1人だけに、ここで流した涙は必ずゼイダムの血肉になるだろう。ゼイダムはこの試合をターニングポイントにして、ここから巻き返しの成長曲線を描いていく。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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